2018年世界フィギュアスケート選手権 結果

1位 ネイサン・チェン(アメリカ)

2位 宇野昌磨(日本)

3位 ミハイル・コリヤダ(ロシア)

 

 

 

2018年世界フィギュア 男子FSが終わりましたね顔 やーっ!!

私は昨日の女子FSも、男子SP、女子SPもTV観戦をしたのですが・・・

 

結果から言うと、

 

波「大波乱の世界フィギュア」波

 

だったといえるのではないでしょうか。

イタリアのフィギュアファンもビックリビックリ

でしょうね。

 

来年2019年のさいたま煎餅で行われる世界選手権では、

「波乱」ではない大会になるといいなぁと

勝手なことを思ったりする私です。

 

 

そう、今大会の女子・男子全ての演技を観ていた方は、

きっと感じたはず。

 

私が思う波乱ポイントをまとめました。

 

 

 

①平昌オリンピック金メダリストのアリーナ・ザキトワ(ロシア)の度重なる転倒

 

 

②カロリーナ・コストナー(イタリア)の素晴らしい演技構成とフィギュアスケート競技の厳しさ

 

 

③SP2位発進でメダルが見えた中で演技をするヴィンセント・ゾー(アメリカ)のこころの揺らぎ

 

 

④オリンピックの魔物に負けても諦めなかったネイサン・チェン(アメリカ)の真の強さ

 

 

⑤フィギュアスケートの未来の怖さをいち早く体現したボーヤン・ジン(中国)

 

 

 

いつもだったら、一つの大会の感想は、

大きく1〜2つなんだけど

こんなにたくさんのことを思った大会は初めてでした。

 

今回は飢えの5つの他にも宇野昌磨選手や、友野一希選手、樋口若葉選手、ミハイル・コリヤダ選手にも思うところがあって。

 

いっぱい思うことはあったんだけど、

心に残った順に書いて行きますね。

 

 

アリーナ・ザキトワ

手の動かし方に改善の余地があるザキトワ

 

 

いつもの練習がいつも通りできること、それが勝利するには必要なこと。

ポーカーフェイスのザキトワなのに、何故か

「いつもと違う」

何かを私は感じていました。

 

それが何かは特定できないけど、

フリーの演技が終わったときに

この違和感が合っていたと確信しました。

 

彼女は、

「自分に負けた」

のだと思いました。

 

 

ついこの間「金メダル」を獲得した

15才の女王は、まだ

女王の覚悟

が出来ていなかったのだと。

 

羽生結弦選手がよく言っている言葉を

思い出しました。

 

「この大会はこの大会でしかありません」

 

オリンピックはオリンピックという一つの大会であって、

世界一の大会だけど、

違う大会で同じようにいくわけではない。

 

世界のトップをこの4年の間戦ってきた彼の言葉は、

ザキトワの今大会の出来の解答のような気がしてなりません。

 

 

ザキトワの体の状態を推測すると、

完全な演技をするだけの力は

十分にあったのだと思います。

 

でも、彼女の結果は5位。

フィギュアスケートの怖さはここにある。

 

どんなに演技構成点が良かったとしても、

どんなに技術構成が凄かったとしても、

演技の出来でどんな結果にもなってしまう。

 

そして、これを決めているのは

演技する人の思考

これではないかなと

思ったのが、ザキトワに関する感想でした。

 

 

あくまで推測ですが、

オリンピックに勝ったということは、女王ということ。

「女王にふさわしい演技をしたい、負けたくない!」

そんなことを思っていたのではないでしょうか。

 

比べてオリンピックの時は、何を考えていたのでしょうか。

「自分の演技を力の限り披露したい」

そう思っていたように思います。

 

 

この思考のちょっとした違いが、

今回のように、歯車が噛み合わなくなった原因なのではないでしょうか。

 

思考がそのまま結果につながるのがフィギュアスケートです。

スポーツでありながら、精神訓練を相当しなければならないのがこの競技の真の難しさでもあるのです。

 

 

カロリーナ・コストナー

ずっとこのままでいて欲しいイタリアのアーティスト

 

 

何と現在31才という大ベテランは、

今大会ショートプログラムで見事

1位の80点超えを達成しました。

 

この得点は、歴代3位になるとにかくスゴい得点です。

地元開催の盛り盛り得点ではないと思っています。

 

スゴい得点が出る演技というのは、

場を支配する空気が出ているものです。

 

ショートのコストナーには、

この空気を壊すことのない完璧な流れがありました。

完璧な流れを他の言葉で言うなら、

「ミスがない」ということになります。

 

この日のコストナーは、

「コストナーにしか出来ない表現を大成させた」

と言ってもいいのではないでしょうか。

 

印象派の絵画と音楽をミックスさせたようなスケート

こんなスケートは、今まで見たことがありません。

 

技術を押し出したわけでもなく、

優雅さでうっとりさせるわけでもない。

これは、長年のキャリアが培った彼女の個性なのだと思いました。

 

それなのに、フリーで「完璧な流れ」を作ることができませんでした。

 

1位で迎える地元開催の最後になるであろう世界選手権。

そんなプレッシャーもあったのかもしれません。

体力的に、完璧な演技ができる状態だったのかもわかりません。

 

でも、それがフィギュアスケート。

だから面白い。

でも、みんな平等に残酷なスポーツだとも言えるスポーツ。

そんなことを思ってしまうのでした。

 

 

 

ヴィンセント・ゾウ

何色に染まるのか、染めてみたくもあるファン心

 

 

彼を知ったのは、2年前の世界ジュニアでした。

黒髪の細くて才能のある子。

そんなイメージでした。

 

今年オリンピックに出てきた時は驚きました。

もうシニアに上がったんだと。

(現在彼は2000年生まれ!の17歳)

 

特に男子の場合は、ジュニアからシニアに上がる

年齢がまちまちです。

だからこそ、潜在的なポテンシャルが高い選手は

シニアに上がるのが早いイメージがあります。

 

さて、このゾウはシニア初挑戦のシーズンでした。

そしてこのシーズンの締めくくりの世界選手権のショートで2位発進と、ちょっと経験したことがない位置でのフリーを迎えました。

 

私は、この選手の精神的な強さを知らないので、

「この選手の本当のスタートがフリーだ」

そう思いました。

 

そして、転倒を繰り返すフリーの演技が終わりました。

結果は138.46点(ちなみに樋口新葉選手は145.01点)

 

羽生結弦選手のことをトータルパッケージ(フィギュアスケートで必要な要素全てが完璧なセット商品、iPhoneのような感じ)という言い方をすることがありますが、このゾウ選手は要素の中ではスピンが少し弱いのかなという印象を持ちました。

(チェンジフットの時のポジションが明確ではなく、スピードも遅い。)

 

あとはサラッとしている演技かなぁと。

綺麗でいいのですが、

最終的にメダル争いをしていく場面で大事なのは、

演技にかけるエネルギーだったりします。

 

このサラッとしている印象は、言葉を変えると

エネルギー不足とも言えます。

 

例えば、宇野昌磨選手はドラマティックな音楽と

感情表現を得意としていますが、これが

審判や観客の心を掴みメダルを獲得する原動力

となっているのではないでしょうか。

 

ゾウはフリーの演技で、映画音楽「ムーラン・ルージュ」を使っています。

同じ「ムーラン・ルージュ」の演技で過去の世界選手権銀メダルを獲得したアシュリー・ワグナー(アメリカ)は、演技中もの凄いエネルギーを発していました。

 

このエネルギーに、人は心動かされることは間違いありません。

エネルギーの出し方をマスターした時、トップ選手の仲間入りができると思います。

 

感情を押し出していく練習をしていくと

良いのではないかなぁ?

 

と勝手ながら感想を書いてみました。

 

今回、相当悔しい想いをしたはずですから、

来シーズンどんな成長を見せてくれるのか

とても楽しみです。

 

ゾウ選手の私のお気に入りは、両手を上げたジャンプ。

これのジャンプは、羽生結弦選手の両手を上げたジャンプと同じくらい綺麗です。

(いや、羽生結弦選手の方が綺麗かも(笑))

 

 

ネイサン・チェン


ネメシスで新境地?クールなネイサンを表現 

 

ネイサン・チェンは常日頃からスゴいと思っていた選手の1人です。

それはなぜかというと?

 

チェンは、バレエの基礎があるため

「上体の使い方がとてもしなやか」だからです。

 

これは、意外とフィギュアスケーターとしての素質に関わります。

 

これはどういうことかというと、

フィギュアスケートは、表現力、ステップといった

上半身の動きがしなやかに大きく動くことが出来ると

高得点を取り易いからです。

 

もちろん、スケート技術がなくては上半身の動きを大きくすることはできません。

ですから、技術あってのことなのですが、トップ選手になった時にこの「上半身のしなやかさ」を持っているととても良い戦いができるのです。

 

羽生結弦選手と比べても、上半身のしなやかさはチェン選手の方が上なのではないかと思います。

 

ただ、それだけでもないのがフィギュアスケート。

チェン選手の弱いところは、ズバリ精神力トリプルアクセルが苦手なところ。

 

この二つは、フィギュアスケートで戦う上で非常に大事なことで、オリンピックの場ではこの二つがショートでは崩れて結果を残せませんでした。

 

でも今回、この両方を克服することができました。

そして、羽生結弦選手の歴代一位の得点に迫る得点を出して優勝しました。

 

これからの時代は、羽生結弦、宇野昌磨、ネイサン・チェン、ボーヤン・ジン、ミハエル・コリヤダが引っ張っていくのだと思います。

 

この中でも羽生結弦、宇野昌磨、ネイサン・チェンが少し飛び抜けているのかなというのはあります。

 

今回、どんな心境で、どんな方法でこの優勝を勝ち取ったのか詳しくはわかりません。

 

でも、ネイサン・チェンの弱かった精神力とトリプルアクセルが克服できた場合、羽生結弦と一騎討ちをしてどちらが勝つのか分からないくらい、それくらいスゴい選手であることは間違いないでしょう。

 

 

 

 

 

ここまできて、スゴく長くなってしまったので、この辺にしたいと思います。

他の選手の感想は、気が向いたら書くことにしますウヒ

 

今日ここまで真剣に書きたいと思える大会をしてくれた、イタリアの方々と選手の方々に感謝したいと思います。

 

 

おやすみなさい*oyasumi*