体の痛みと寒さで蓮は目を覚ました。


「ゴホッ・・寒いな・・」


冷えきった部屋に人影はなくカーテンも開けたまま、いつの間にかソファーの上で眠りについていた。


昨日のミシカの話
寝る前に思い浮かべる人・・


その顔を思い浮かべて蓮は苦笑した。


偶然にしては良くできている。
昨夜はミシカのことを考えて眠るはずだったのに、いつのまにか大人びた雰囲気にあどけない表情の彼女のことを考えていた。


鮮明に浮かぶ俺に向けられることのない笑顔。
心をくすぐる甘いかおり・・


認めたくなかった事実が、自分の心に広がり始めるのを感じると蓮は目頭を押さえ疲れを癒した。


「まったく・・なんだって、こんな一筋縄ではいかないところに俺は・・・・」


自分の想いに呆れるように蓮は大きなため息をついた。


彼女のことを好きだと気がついたところで、先はないとわかっている


それなのに・・


こんな厄介ごとに絡まれるのはごめんだと言わんばかりに、蓮は自分の首を大きく振った。


はぁ~
なんだってよりによって、社さんの彼女なんだ。
しかも、好かれていないなんて・・
どれだけ苦労したいんだ・・俺は


気がついてしまった想い・・


すでに後戻り出来ないことに、蓮はどうすることもできなかった。