「・・蓮?・・一緒にいるのに心ここにあらず・・って感じね?」


「ん?・・そんなことないよ・・ちゃんとミシカのこと見てるよ・・?」
氷の美貌に柔らかい笑みが広がる。


親しい友人には分る作り笑顔も、その美しい表情にミシカは恥ずかしそうに頬を染めた。


「嘘だとわかってもトキメクわ・・悔しいけど。クス、・・でも、貴方の心を縛る人がいるなんて興味深いわね?・・まさか、仕事とか、社さんじゃないでしょ?」


「すっかりお見通し・・って言いたいのかな?ま、半分は、当たっているから、何とも言えないけどね」


クスクスと笑う蓮の顔に見惚れながら、ミシカは複雑な表情をした。


「で、その理由は、教えてくれないの?・・今さら隠すほどの関係でもないでしょ?」
その言葉に蓮は、極上の笑みを浮かべてミシカを見つめた。


「知らなくても、続く関係だと思うけど?」
今度はミシカが少し驚いた表情を見せた。これ以上踏み込むなと瞳の奥が雄弁に語ったっている気がした。

「・・さて、じゃ話しはこれくらいにして・・飲みなおしでも・・しましょうか?」


「ええ、お嬢様・・仰せのままに・・」
蓮は、わざと気取った態度で手を差しだすと、ミシカは、もう、しょうがないわね?と敗けを認めたような表情でその手を取った。


「・・蓮・・今日は海が見たいわ?」
悔しそうな顔をした後に、悪戯な笑みを浮かべて蓮の瞳を見つめる。


「じゃ、新しくできたお店でも良いかな?」


「たどうせ、口をはさめないほど、素敵なお店なんでしょ?」
皮肉とも賛辞ともとれる言い方でミシカは、上目使いに蓮をみた。


その仕草に蓮は、しらずに瞳を細めていた。