「なんでそんな話になったの?」
蓮のその言葉にキョーコは答えを探すようにじっと蓮を見あげた。


「あの・・ことの始まりは・・・・」
言いかけて言葉を止めると、蓮がその先を続けるように質問をしてきてキョーコを驚かせた。


「もしかして、五十嵐君に・・何か言われた?」
キョーコがビクッと驚いたのを感じ取り、蓮はそれを答えとした。


「なにを言われたのか訊いても良いかな?」


俺の入り込めない世界・・
昼間見た五十嵐君の顔が横切った
最上さんと共通の時間を持つことができる彼に嫉妬したのを思い出す


「はい・・その・・敦賀さんと、どういう関係か訊かれまして、先輩後輩の関係と答えたら・・しばらくして・・・・彼氏に立候補したい・・と言われまして・・」
歯切れ悪くキョーコが話をすすめる


「・・それで?」


「・・それで?・・えぇっと・・・・それだけですが?」


「いや、最上さんはそれでなんて答えたの?」
蓮の雰囲気が少し変わった気がしてキョーコは身体を小さく震わせた。


「えぇっと・・何も答えていません・・そのチャイムがちょうど鳴ってしまい承君が教室に戻ると言って・・あっという間にいなくなってしまったので・・」


キョーコが承君と下の名前を呼んだことにチクリと胸の奥が痛みだす。
抱きしめていた手に力を入れそうになり、なんとか自分自身をおさえこんだ


「そう・・じゃ・・彼には何も答えてないんだ・・・・彼と・・付き合いたいの?」

抱きしめている腕に力を入れないように自制するのが精一杯で、驚くほど冷たい声に自分自身をあざ笑うように口元を歪めた。





「・・あ、はい・・・・そ、そうですね・・」


キョーコのその言葉に蓮は、心臓をわしづかみされる思いだった。