女将さんに少し外に出てくる。と言うと、こんな時間に?と言われキョーコは手短に理由を伝えると、気をつけるのよ と快く見送ってもらった。


玄関を飛び出して大通りに向かおうとすると、急に左手を掴まれびっくりして振り返えった。


「え・・?・・・・つ、敦賀さん・・ですよね?」


「こんばんは、最上さん・・大通りで待っていようと思ったんだけど・・時間が遅いことに気が付いて迎えに来たんだ・・ごめんね遅い時間に・・」


「い、いえ・・その・・こちらこそすみません。わざわざ立ち寄っていただくなんて・・」


「せっかくだから、少し歩こうか?・・この格好だし・・たぶんわからないと思うよ」
確かにBJに近い服装に色の薄いサングラス、いつもより長い薄い茶色のサラサラとした髪が中性的な雰囲気を出していた。

月の光が薄茶色の髪に宿り幻想的だった。


「なんか・・天使と悪魔の・・・あいだ・・のような美しさですね・・」
そう言ってキョーコは蓮をじっと見つめた。


「天使と悪魔?・・ずいぶん両極端だね?」


「クス・・確かにそうですね」
楽しそうにキョーコが笑うのを見て蓮も嬉しくなった。


「あの、近くに公園がありますので、そこまで歩きませんか?・・車大丈夫ですか?」


「あぁ・・大丈夫だよ・・じゃ、案内してもらおうかな?」


「はい、こちらです」
ヒール兄妹として過ごしているせいか、あたり前のようにキョーコが蓮の腕に手をかけると嬉しそうに手を引いて、少し先を歩き始めた。



キョーコの雰囲気が少しだけセツになったように感じて、蓮はその後ろ姿にクスリと笑みをひろげた。