・・・・恋煩いね


社さんの言うことが本当なら、俺は恋をしているのだろうか?
いや、そんなことは、どうでも良い・・
どんな女性と付き合っても、結局長く続かなかった。
終わりはいつも同じ・・


『・・私のこと好き?』


好きではなかったら、付き合ったりしないだろう・・・・


『私とあなたじゃ、好きの重さが違うのよ・・』


なんだ?・・好きの重さって・・


毎回変わらない会話
もう何度同じことを繰り返したことか・・
うんざりするのも通りこすと不思議と慣れてくる。

そして、それを楽しめるまでになった・・・・
だが、ここ最近感じる孤独感・・
まったくなんなんだ・・・・


仕事中に仕事以外のことで、時間を使うのは、いったいつ以来だろう?

顔も覚えていない女性のことで、こんなに考えこんで自分はどうしたと言うのか・・



社の言うとおり帰宅するべきか考えていると自然と視線が窓の外に向いた。



何かあれば下の階へ降りるだけで仕事ができるし、自宅に戻っても問題ないか・・


蓮は、戻って仕事ができるように荷物を持たずに最上階にある自宅に帰ることにした。


専用エレベーターの前で人を近づけないように立つその姿は、社内でも噂の氷の美貌として称されるオーラを放っていた。

エレベーターが上がってくるのと同時に背後に人気を感じて蓮が振り返ると、昨夜共に過ごした女性が魅力的な笑みを浮かべて立っていた。
ただその魅力的な表情が今日はひどくわずらわしく感じた。


「社長・・?今日もお邪魔しても良いかしら?」


「素敵な誘いだけど・・今日は帰って一息ついたら、また仕事なんだ・・・・」

なぜか自然と零れ落ちた嘘に、自分自身が驚いた。


それを聞いた女性が短く そうですか、お疲れ様です。と言って残念そうにその場を後にすると蓮は大きなため息をついてエレベーターに乗り込んだ。