撮影が終了すると、蓮が携帯電話を見た後に留守電を確認するのを見て社は驚いた。
「蓮・・めずらしいな、留守電を確認するなんて・・」
仕事中めったに携帯電話を見ることのない蓮が留守番電話を確認しているのを見て社はニヤニヤと笑っていた。
「あ、いえ・・ちょっと・・・・」
「ふぅ~ん・・キョーコちゃんか・・」
その一言に蓮がチラッと社に視線を向けた。
「社さん・・この後仕事ありましたっけ?」
「キョーコちゃんと会うのか?・・事務所に立ちよるって主任に言ったけど・・キョーコちゃんに会うなら明日に変更しておくけど?」
社がニヤニヤしながら気にしつつも、蓮は一瞬考えた後に、明日に変更してもらえますか?と言って視線をむけた。
「ふぅ~ん、キョーコちゃんに会うんだ・・なんで?」
「なんか・・訊きたいことがあるみたいなので・・帰りにちょっと立ち寄ってみようかと思って・・ここからだとちょうど帰り道になるので・・」
「へぇ~・・立ち寄るんだ・・お前が?・・わざわざ?」
グフグフと笑いながら視線を向けると蓮が 帰り道だからですよと念をおした。
「ふ~ん、そっか・・じゃ、変更しておくけど・・キョーコちゃんによろしくな・・」
「ありがとうございます・・伝えておきます。・・ひとまず、この仕事を片付けないと・・ですね?」
心なしか蓮が嬉しそうな顔をしたのを見て社はなぜかホッと一息ついて応えた。
「そうだな・・じゃ、俺はちょっと事務所に連絡してくるから・・」
そう言って社は、携帯を持ってスタジオから出ていった。