しまった!春が終わるの『春』が終わらない!!!
こんな調子で、題名だけ夏に変えた方が良いだろうか!!
「キョーコちゃん・・ここ分かる?」
隣から小声で話しかけられて、キョーコは驚いて振り返った。
すっかり自分の世界に入り込み、隣で承が勉強していたことを忘れていた。
「えぇっと・・あぁ・・これね・・これはね・・こうして、ここにXをいれると・・こうなあるでしょ?それから・・・・」
「あ、なるほど・・ここ2だね?」
振り返った承の顔が間近に迫り、キョーコは驚いた。
知らない間に随分近くで説明していたことに気が付いて、少し恥ずかしくなった。
「あ、ごめん・・ちょっと近かったね・・」
承もそれに気が付いてキョーコから少し距離をとった。
「あ、うん・・そうそう・・ここは2で・・こっちが3よ?」
「キョーコちゃんは、勉強好き?」
「・・うん好きだと思う・・あんまり考えたことなかったけど・・しばらく勉強ができない環境にいて・・やっぱり勉強ができるって良いね?・・承君は?」
「俺は・・あんまり好きじゃない・・サッカーと野球は好きだけど・・それ以外はダメだね・・・・・・キョーコちゃん・・あのさ・・・・」
名前を呼ばれてキョーコが視線をあげると承がじっと見つめていた。
「ん?・・どうかした?」
キョーコは小首を傾げて承をみる。
同級生の男の子と一緒にいるのに、頭が勝手に敦賀さんと比べてしまう。
・・穏やかな声
見つめる時の視線の流れ・・
指の動き・・
・・私って敦賀さんのことよく見ているんだ・・
「キョーコちゃんは・・敦賀さんと・・親しいの?」
承の質問に驚いて、キョーコは目を丸くした。
「え?・・・・あ・・その・・親しいって?・・事務所の先輩なので、よく面倒を見みてもらうけど・・というか、迷惑をかけているけど、親しいというほどの間柄ではないと・・手間のかかる後輩くらいには思ってもらえているかもしれないけど・・どうして?」
「そう・・なんだ・・キョーコちゃんにとって敦賀さんて、どんな人?」
「尊敬しています!!崇拝しています!!私の目標です!」
キョーコの勢いにびっくりして今度は承が目を丸くする。
「そうなんだ・・俺、てっきり敦賀さんは・・キョーコちゃんのことが好きなのかと思ったよ。」
言われた意味を一瞬理解できずキョーコは首を傾げた後、大げさに手を振った。
「そ、そんなこと・・絶対にありません!あの敦賀さんが私なんかを・・!」
「そうなんだ・・じゃ、俺立候補しても良い?」
「え?・・・・何に?」
「キョーコちゃんの彼氏に」
その一言に頭の中が真っ白になり言われたことを理解できなかった。