うわぁ~

このままでは春が終わってしまう!!

すっかり本館の更新に気を取られて・・忘れていた・・・








学校に着くと授業を受ける気分にならず、教室ではなくキョーコはそのまま図書室へ向かった。

昨夜敦賀さんと交わした会話を思い出すと、楽しくなるはずだった学校生活が急に色褪せ、教室に行く気分にならなかった。


友達が欲しくて学校に入ったわけではない。頭では分かっていながらも、やはり同じ環境に友達ができることがとてもうれしかった。

はじめは、学校に行かれることがただ単に嬉しかった、そんな思いだけだったのに、気が付けばやはり友達が欲しかったり、部活に入りたかったり、学生時代にしかできなことをやってみたいと思い始めていた。


もし、敦賀さんが同級生だったらどうなっていたんだろう・・


ふとそんなことを考えてキョーコは手にした本を片手にその場で考えこんでいた。




「・・・・あれ?もしかして・・キョーコちゃん?」

呼ばれるままに振り返ると五十嵐が立っていた。


「あ・・五十嵐君・・昨日はごめんね?」


「いや、大丈夫だよ・・俺もうかれていて、気をつけなければいけなかったって反省したんだ・・それより・・授業は受けなくて良いの?」


「あ・・・・うん・・なんか授業を受ける気分じゃなくて・・図書館で少し勉強しようかと思って・・」


「はははっ、ずいぶん余裕だね、テスト近いのに!・・じゃ、俺もお邪魔しても良いかな?隣で勉強するだけだけど・・」

キョーコは一人でいたいと思っていたが、せっかくの申し出を断ることもできず、小さくうなずいた。


「あ、それから俺のことも名前で呼んでくれない?」


「え?五十嵐君・・じゃなくて?」



「うん・・「承」って呼んでくれると嬉しい・・」

人懐っこい笑顔を向けられて、キョーコは引きつりそうになる顔を何とかとどめることができた。



・・・・五十嵐君・・下の名前「ショウ」って言うんだ・・



苦い過去が一瞬頭を過る。


「・・えぇっと・・じゃ、よろしくね?・・ショウ・・君?」


「こちらこそ、改めてよろしくね、キョーコちゃん」



2人は挨拶を交わすと窓際の席に仲良く並んで座ることにした。