先月、退職に関する諸書類に実印を押す必要があったので会社に持参し、人事部の担当の方の説明を受けながら書類に捺印をしていった。

 

通常の業務はシャチハタで済むのでなかなか実印を使う機会もなく、これまであまり深く考えを巡らせることはなかったのだけれども、その日書類に押された自分の実印の印影を見ていて凄く違和感があった。

 

言葉で上手く説明できないけれど『なんか違う』。

 

 


 

今から19年前、2002年の正月に上京する際に母親が持たせてくれた印鑑。

 

僕はこの印鑑を実印として、銀行印として、全ての用途に使ってきた。

 

これまで全く違和感なく使用してきた印鑑に、初めて違和感を覚えた先月。

 

18年間勤めた会社を辞める際の書類に捺印する印鑑は、もっと背筋がピンとするような印鑑を無意識に求めていたのかもしれない。

 

 

 


印鑑を作るなら、ここで作りたいと思っていた印鑑屋さんがありました。

 

働き出した当時、海外送金をする際にはネット送金なんてオシャレなものはなく、毎回手書きで送金書を準備し、会社の銀行印を捺印して銀行の法人部まで持ち込んでいました。

 

毎回会社の銀行印が捺印された送金書を見ていて、その特徴的な印影が『カッコいいなぁ』と思っていたので当時のボスに聞いたことがあった。

 

『この印鑑、どこで作ったんですか?』

 

と。

 

その時に教えてもらったのが池尻大橋にある日本一予約の取れないとも言われる某印店。

 

こだわった印鑑を作ろうと思った人なら一度は見聞きしたことがあるであろう有名で、そして不思議な印鑑屋さんです。

 

単純に印鑑を作ってもらいに行くというよりは、皆さんそこのご主人に運勢を見てもらい、そして新しい印鑑を作ってもらうという事を目的としています。

 

電話の予約が全くつながらないので、毎日予約の始まる12時になったら電話するようにとボスに言われたので当時1週間、毎日電話したけれども僕はつながりませんでした。

 

その後もボスと顔を合わせる度に『つながった?』と聞かれるので、その都度電話したけれどもつながらず・・・

 

当時、今から15年以上前の時点で『(ご主人は)ご高齢だから作ってもらいたいなら、早く作ってもらった方がいい』と言われていました。

 

もし電話がつながり予約が取れたとしても作ってもらえないこともあるらしく、実際ボスは予約が取れて初めてお店に行った際に、『あなたはまだ今の印鑑を使っていた方がいい』みたいなことを言われ、印鑑を作ってもらえなかったと言っていました。

 

そして時を置き、ボスがナノ・ユニバースを起業する際に奇跡的にまた予約が取れ、その際に晴れて印鑑を作ってもらえる事になり、今のナノ・ユニバースの法人印や銀行印を作ってもらえたんだと。

 

 

 

〜つづく〜