最高に面白かった!


 

面白い本の特徴は読んでて『もっともっと!』と読みたくなる反面、読めば読むほど終わりが近づいていくのが残念に思える、この『水底の橋』はまさにそんな一冊だった。

 

2015年の本屋大賞であり、そして日本医療小説大賞も受賞した『鹿の王』。

 

本作はその外伝のような一冊で、前作よりももそっと医療の側面が強い作品でした。

 

医療の発達と安楽死、そこに宗教観が絡み合いながら物語が進むのは、まさに現代に生きる人が直面している問題のようで深く考えさせらます。

 

面白かったな。

 

僕は読み進めながら、頭の片隅では東洋医学と西洋医学の違いってなんなんだろう?死生観?とか考えたり。

 

医学と宗教、基本的には全く別のモノだけれども、究極に突き詰めて行った時にこの二つの関係性は切っても切れない関係なのだろう。

 

クローン技術なんてもはや技術的な問題ではなく倫理ベースの問題になっている現代で、その倫理はどこからくるかというと宗教の部分が大きいよね。

 

正直、僕は本編の『鹿の王』の詳細はすっかり忘れた上で読んだけど、それでも十分楽しめた。

 

ストーリー的なつながりは基本ないとは言え、もちろんできれば本編を読んでからのこの外伝の方がより楽しめるとは思うけど。

 

ただ、『水底の橋』からいきなり読む人は、本作がいわゆるラノベ(ライトノベル)であることを認識して読み始めた方が、一層深くこの作品の世界観に浸れると思います。

 

小学生の頃、『ロードス島戦記』や『アルスラーン戦記』という、当時はラノベという言葉があったか定かではないけど、いわゆる『ファンタジー』系の小説が大好きでした。

 

上橋菜穂子さんの作品は、なんだかそのころの記憶や感情をすごく思い出させてくれる。