これは、見入った。

 

こういう番組を見せられると、流石NHKと唸る。

 

そしてエンタメの部分ではyoutuberの進出が凄まじい中、やはりこういうある一定の期間を追いかけるドキュメンタリー、特にこのようなシリアスな内容のドキュメンタリーとなるとテレビの、正確にはテレビの制作会社の底力を感じる。

 

以前、何かの記事で目にしたのが、日本人は『一般的』な質問として安楽死について賛成か反対かを問うと、ほとんどの人が賛成と答えるらしい。

 

ただし、その安楽死の問題が家族内に実際起きたらどう思うかと問われると、家族には安楽死を選ばず出来るだけ1日でも長く生きて欲しい・・・と答える、と。

 

この番組の中で安楽死を希望される方は、カメラが回っている中で亡くなられる。

 

淡々と、こんなにも簡単に人は死ぬのか・・・と静かな衝撃だ。

 

僕の記憶では人が亡くなられる瞬間を正面から向かい合って映し出した番組は、恐らくこれまで見たことがなかったと思う。

 

これから僕らも長く生きれば生きるほど、家族や身内の死に向き合っていかなければならない。

 

全ての人が天寿を全うし老衰で亡くなるわけではない。

 

中には、重度の病気で苦しむ姿を見守り続けなければならない人も出てくるだろう。

 

安楽死、つと尊厳死(消極的安楽死)に対しての積極的安楽死については、この番組の中で映し出されている通り技術的な面では、人が安静なるままに死を迎えることは可能になっている。

 

即ち安楽死は生命の倫理観や宗教観の問題だ。(もちろんその上での法制化を前提として。)

 

とてつもなくセンシティブな問題で、どういう答えが日本で出るか分からないけれども、その議論は今以上に公でなされてもいいんじゃないだろうかと個人的には思います。

 

僕は恥ずかしながらQOL(Quality of Life)という言葉を13年前に母親が病気になって知り、そしてそのQOLという言葉は主に医療や福祉関係で使われている用語ということも、その時に知った。

 

その当時に比べこのQOLという用語はだいぶ世間では認知されてきているように感じるし、今後はQOD(Quality of Death)について議論されるような時代になっていくんだろうと思います。

 

冒頭の動画で安楽死された方がこの番組において、自分がこの世から去る瞬間を撮影されることに同意されているのは、日本における死の倫理観に一石を投じたいという強い意志からなんだろうと個人的には受け止めました。

 

そして非常に複雑な心情であっただろうけれども、その意志を尊重され放映されることに同意された姉妹の方たちの理解。

 

 

合掌