とうとう記念すべき一冊。

 

『海辺のカフカ』を読んでから10年以上も経ってしまった。

 

世界史の西暦的にいうとカフカ前・カフカ後。

 

そんなカフカ後において、初めて最後まで村上春樹さんの作品で読了できたのが、この『村上ラヂオ』。


 

普通に面白かった。

 

この普通というのが、いちばん染みる。

 

しかも、普通というのは形容詞で使うと普通どころか普通じゃない。

 

試しに今度、『君って普通にブスだよね。』って誰かに突然言ってみてください。

 

普通に怒られると思います。

 

村上ラヂオは、短編のエッセイで全ての章が4ページ構成。

 

最初の1ページがタイトルと文章、次の1ページは大きな挿絵のみ、3ページ目は文章のみで、最後の4ページ目は半分が文章で半分は小さな挿絵。

 

4ページ構成のうち、実質の文章は2ページ強という塩梅もちょうど良かった。

 

身の回りの普通の事柄を普通に書くという、もはや自分がブログで書きたいスタイルの理想としていることをサラリとやってのけてしまっている村上さんをこの作品で知って、すごいなぁと・・・凄みを知りましたよ、この村上ラヂオで。

 

僕のような一般人がブログをシャーシャーと書いてても、正直すぐに書くことがなくなります。

 

願わくば『今日、寝てたら宇宙人に連れ去られた。』みたいなイベントが頻繁に起きてくれたら書くことに困らないんだけど、そんなビッグ・イベントは数年に一回あればいい方だ。

 

僕はお酒をあまり飲まないから泥酔することもないので『今朝起きたら、隣に知らない宇宙人の女性が寝てた。』なんてこともなかなかおきない。

 

MAX頑張って『寝る前から隣で寝てた地球人の女性が、朝起きたらやっぱり隣で寝てた。』ってことくらいか・・・それでさえ2-3年に一回あるかないか。

 

正直言って、日々の生活でまったく書くことがないんです。

 

無理やり書こうと思ったら、『今日は会社から家に帰るまで、独りでしりとりをしながら帰った。』みたいなことを書かないといけない。

 

そんな独りしりとりみたいなことを、シャープに、そして変人と思われないように書けるのが、村上春樹さんでした。

 

村上さんが僕の代わりに1ヶ月くらいこのブログを書いてくれたら、楽だなぁ・・・楽だなぁは失礼だよね(笑)、素敵だなぁ・・・。

 

その際、ギャラってどのくらい払えばいいんだろうか・・・?

 

とりあえず、そんな村上春樹さん。

 

今はまだ『ノルウェーの森』などの長編作品に挑戦できるレベルに到達していないのは重々承知しているので、次も同じようにエッセイ集に挑戦しようと思っています。

 

『村上朝日堂』


 

世の中に、村上春樹さんの作品を読みたくてもなぜか読めない人、一定数いると思います。

 

エッセイから入るの、普通にオススメです。