ヨーロッパ、日曜日はそもそも営業していないレストランが多くてディナーは激戦です。
そんな日曜の夜に、昔の同僚で今はヨーロッパのコレクション・ブランドのセールスなどを担当しているマナスと待ち合わせして二人で和食屋レストランを数軒ジプシーをした結果、結局どこも満席で入れなくて最後にやっとこさ入れたのが我らが来来軒。
僕が16,7年前に初めてパリに来た時から既にあって、同じ場所で変わらず営業しているもはやレジェンドな来来軒。
店内はファッション関係者の方たちで大盛りお代わり3杯目くらいでした。
で、席についてさ、とりあえず『なんか好きなのを頼みなよ』って定型文的に一応は言うわけ。
確かに、残念ながら自分も料理のオーダーとか超下手くそです。
むかし、海外からのお客さんとの会食で、BOSSにいいとこのお寿司屋さんに同席させてもらってさ、同じように『自分、なんか好きなの頼みなよ。Aさん(海外からのお客さん)の分もなんか適当に』って言われたから、大将に『とりあえず納豆巻きお願いします!』って言ったら、BOSSにまぢでマヂギレされた苦い思い出もあります。
そんなオーダー下手な僕だから、特に他人のオーダーにとやかくいう資格はないんです。
なんで店員さんに注文を取りに来てもらって、とりあえず最初にマナスにオーダーしてもらったら
『とりあえず豚角煮ラーメンと〜』
って・・・・。
ちょっとびっくりしちゃったよね、我を失いかけて、宇宙の端にタッチした感覚さえした。
因みに、料理注文する前に飲み物をオーダーしたんだけど、マナスが
『えざきさん、今日くらいは一緒に飲みましょ。』
って言うんで、基本的に普段は飲まないんだけど、久しぶりだしその夜はマナスに合わせて僕もビールにしてさ、まぁ、ちびちび飲みながら、適当に二人でいろいろつまみながら・・・って思ってた、そんなプロローグからの
『とりあえず豚角煮ラーメン』
いやぁ、やっぱいいよね、久しぶりに会うとシビれさせてくれるよね。
僕にとってのプロローグは、彼にとってはエピローグだったのかもしれない。
まぁ、そういう柔軟な発想をもっとかないといけないな、と反省しつつも
『豚角煮ラーメンはキャンセルで豚角煮チャーシューに変更して下さい。』
と店員さんに伝える。
僕は言葉というものは常に進化するものだと思ってはいるけど、『とりあえず』という副詞と『豚角煮ラーメン』という名詞のコンビネーションが合法と呼べるほど平成の現代は世紀末じゃない。
いろいろ話したけど、久しぶりに楽しい夜だったな。
マナス、いい名前だよね。
サンスクリット語で『心』って意味か。
