目を覚ました時に、もはやその瞬間が朝なのか夜なのかも分かりませんでした。

ただ、カーテンの隙間から漏れてくる暖かい日差しから、なんとなく『朝』の部類に入る時間帯というのは、考えるよりも感じました。

『ヤバイヤバイヤバイ…』と念仏のように唱えながら携帯を恐る恐る見ると、液晶画面は冷静に8時半から少し進んだ時間を僕の目にデリバリーしてきます。

本日、僕が乗る飛行機の時間は、成田発9時半。

その瞬間、僕は察しました。

『あぁ…たぎったな…』

と。

今回の出張がBOSSと同行のスケジュールというのが、ますます僕の心をたぎらせます。

ただ、いつまでもたぎっていても仕方ありません。

恋愛と仕事は切り替えが重要です。

一瞬、『BOSSに電話しなければ!』と思いましたが、13年間の社会人経験即ちリトルカブトムシが囁きます。

『今、電話してどうするんだ?謝って反省するだけなら、もはや猿でも出来るじゃないか!ちゃんとヤるべきことをやってから電話じゃないのか?』

と。

ありがとう、リトルカブトムシ…

それから僕は頭と心をキンキンに冷えたガリガリ君のように冷酷にヤるべき事務手続きを行いました。

まず、今回搭乗予定だったJALに電話し、寝坊したので搭乗出来ない旨を伝え、キャンセルをするとともに今日の午後の便で目的地の中国は広州まで直行・乗継ぎ含めフライトがあるか探してもらいました。

まぁ、流石にあるでしょ?と若干余裕だったけれども

『カブトムシ樣、大変申し訳ありませんが本日の広州行きは成田発・羽田発含め直行便・乗継ぎ便、提携会社とのコードシェア便全て満席です…取り急ぎキャンセルの手続きだけさせてもらいます。』

と。

僕はキリスト教ではないが、流石に『ジーザス』と呟いた。

冷静だった頭と心が、一気にフルスロットルでたぎりだします。

『ヤバイヤバイヤバイ、ヤバイヤバイヤバイ…これは本当にヤバイ…』

JALを諦め、神にすがる気持ちでANAに電話しました。

『お金はいくらかかってもいいので、どうしても本日発で広州まで行きたいんです!』

と伝えると

『カブトムシ樣、それでは夕方5時発の便がビジネスクラス・エコノミークラス共に空きがありますので、ビジネスクラスでお取りしましょうか?』

と。

奇跡だと思った。

恐らく普段集めている御朱印帳4-5冊分の効力をここで使ってしまったと思います。

嬉しい反面、当日チケットのビジネスクラスなんか乗ったら、これから半年間、僕の主食は空気になってしまうので、『お金はいくらかかってもいい』というのは言葉の綾なので、エコノミークラスをお願いしました。

なんなら貨物スペースでもコックピットでもどこでも、翼の上以外ならもはやどこでも乗る覚悟でした。

ちょっと安心したところでエコノミークラスのチケットの金額を聞くと、一瞬茫然となり自然と遠くをみてしまいました。

遠くはアフリカの大地でキリンさんが二匹いるのが見えたくらい遠くを見てしまいました…

高い…

当日の当日で航空券を買うと高いと分かっていたけれど、予想を遥かに上回るポテンシャルで高かった…

少なくとも向こう半年は、おかずは空気になりそうです…

皆さん、寝坊は良くないですよ。

Time is Moneyの意味を深く、より深く理解しました。

とりあえず本日なんとか広州に行けるチケットをゲットして、BOSSに電話を。

ベッドの上で正座して、謝罪しました。

~以下割愛~

なので、今回は私はワタシとワタシ以外の人と旅に出る予定でしたが、諸事情で行きだけは、私はワタシと旅に出ることになりました。

それにしても、やってしまったなぁ…

出張者の中には、今回が初めての出張の人もいたのに、そんななかやってしまったなぁ…

申し訳ない…

久々にたぎりましたよ、まぢで。


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