『将来、どういう風になりたいとか考えてる?』
食事をしていたら、唐突に聞かれた。
パスタを口まで運んでいた箸を休め、正直に応えた。
『仕事でも宝クジでもいいから一発当てたい。当たったら、そのお金で一軒家を買いたい。』
と。
どうやら知りたかったのはそういうことでなく、何歳までに課長になって何歳までに部長になって…
みたいな意味だったらしい。
凄く違和感を感じた。
たまに女性で、不倫関係にある既婚の男性を『彼氏』と呼ぶ人がいるが、それと同じくらいの違和感を感じた。
ただ、相手はもしかしたら深い意味はなくただのコミュニケーションの糸口として聞いている可能性もあるので、
『部長とか課長とか役職がある会社で働いた事がないから、正直よく分からない。』
と答えると、思っていた応えと違ったのか凄く不満そうだ。
『貯金は?』
と聞かれたので
『えっ?何?ちょっと耳が聞こえないんだよね』
と応えたら、全く笑いもしてくれない…
シリアスだ。
今考えると、彼女は僕が耳が聞こえることを知っていたのかもしれない。
『500円玉貯金で5万円ちょっと…』
と正直に確定申告した。
激しく不満そうだ。
ただ、近所のコンビニで朝5:00-8:00の三時間アルバイトを募集しているので、ちょっと興味があることを素直に伝えた。
もはや不満を通り越して、悲しそうな顔だ。
先日、電子出版の話を友人としていて、恋愛小説を書いてみようと頑張ったけれども、どうも向いてなさそうだ。
たったこれだけ書いただけで、既に胸が苦しい。
このままだと『僕』は、確実にふられて、一人でお会計をして店を出て行くパターンだ。
今度はもう少しハッピーエンドになりそうな書き出しにしよう…