東京に戻ってきました。
自宅についてとりあえずゆっくりしようとお風呂を沸かし、電気を全て消し真っ黒な湯船に浸かりながら考えていました。
『結婚かぁ…』
と。
池尻の駅をでて、自宅に歩いていたら大家のおばさんとすれ違いました。
『あら、カブトムシさん、今年も宜しくお願いします。』
宜しくお願いします、というのは、『遅滞なく家賃を払って下さいね』ということだろうか…とか変なことを考えていたら、唐突に
『カブトムシさん、因みに結婚の予定は?』
と。
おばさんは世話好きだ。
事あるごとによく話かけてくれる。
『もしアレだったら、今度うちの娘と食事にでもどう?カブトムシさんのこといい人だって、私も主人といつも話してるのよ。主人はカブトムシさんは押しが足らないんじゃないかって心配してたわよ。』
と。
素晴らしいくらいに見事な余計なお世話だ…
『そうですねぇ…娘さん、左利きですか?あっ、右利き?そうですよねぇ…ごめんなさい、僕、左利きの奥さんを探してるので、またご縁があったら…ハハハハハー』
と、角が立たないようにご遠慮願った。
大家さんが娘さんを左利きに矯正しないことを願いながら、僕は家のドアを開けた。
後ろから、またおばさんの声が聞こえてきた。
『カブトムシさんっ、ドア、ちゃんとカギかけてねー』
カギを差し込まずにいきなりドアノブを捻り開けるとこを見られたらしい…
この点においては、大家という立場から間違ってはいないので、
『大丈夫でーす!』
と、何が大丈夫なのかよく分からないけど、とりあえず家に入った。
で、真っ暗な浴槽で考えていた。
『結婚かぁ…』
と。
お風呂からあがり携帯をみると、『いいニュースよ!』という一文とともに何かのリンクが送られてきていた。
何気無しにそのリンクを踏むと…
こ、これは…
『ご朱印ガール』
とうとう時代が追いついてきたことを実感した。
これまで『ご朱印』という言葉がそこまで若い人には認知されていないので、初対面の人に、趣味は?と聞かれたら『お寺とかでもらえるスタンプ集め』と言ってきた。
そうすると殆どの人が
『あー、はいはいはい、スタンプラリーね!』
と言う。
おそらく、↓みたいなのを集めてる変な人と思われてると思われます。
朱印集めは、僕の個人的な趣味なので、無理に奥さんにも集めて欲しいとは思いません。
ただ、まぁ…一緒に旅をしながら集められたら、それに越したことはないね。
もし、ご朱印ガールと縁があった際には、結婚式の披露宴で司会の人に
『新郎新婦、お二人の出逢いは、もはや神様のお導きでした。』
と言ってもらおう。
とりあえず、これから東京に来てから毎年参拝に行っている松陰神社に初詣に行ってきます。
初詣に行く前から、僕の参拝は始まっています。
『ご朱印ガールがいますように…出来れば綺麗なご朱印ガールがいますように…願わくば、我が儘で綺麗なご朱印ガールがいますように…』

