隠すことのほどでもないが、僕はトマトベースのパスタが苦手だ。
えてしてこの赤い感じのパスタを女性は好きだ。
特に素敵な女性ほどトマトベースが好きな傾向にあるからたちが悪い。
これまでの僕なりの少ない経験ではあるが、素敵な女性が、ジャコと明太子とししゃもの和風醤油みりんパスタなどを注文しているところを見た時がない。
みんな女性はDNAに組み込まれているかの如く、トマトだ。
そんな時に、『食べる?』と言われるのはかなりツライ。
僕は、素敵な女性限定だが、女性と食事をする時に、『あ~、この人ってもし結婚したらスキ・キライなくなんでも私が作ったの食べてくれそぉー』というナイスガイをプレゼンする為に、兎に角なんでも食べる。
相手が既婚者であっても、いつか順番が回ってくるかもしれないので、『その時』に備えて、食べる。
イチロー選手が言っていた。
一番重要なのは『準備』だと。
だから、トマトベースのパスタを『食べる?』と言われたらハナから『食べない。』とは言わず、『うん、そしたら後でもらおうかしら?』と言う。
にも関わらず、『イイよイイよ、食べなよ!』と言われたら『実は俺…』なんてヤボなことは言わず、『うん、そしたらあなたが食べ終わって残ってたら、頂こうかしら?』という。
うん、我ながらとてもなスマート受け答えだ…
ただ、人生とは不思議なもので、僕の思う『素敵な女性』の皆さんは、ここまできても引き下がってくれず『いいから食べなって!ゴラァ~』と勧めてくれる。
どうやら僕の顔は相当トマトベース好きな顔をしているのだろう。
ここまでくると僕も覚悟を決める。
そうやってトマトベースのパスタを食べながら『あぁ~、俺はここまでしてトマトベースパスタ食べてるよ…好きだなぁ…』と心の中で思いながら咀嚼する。
その時、僕の口の中に広がるのはトマト味ではなく相手への愛でいっぱいになればいいのだが、やはりそこは120%トマト味以外の何ものでもない。
そんなこんなで、また僕はトマトベースのパスタを食べる日々を送る。