まだ、車の運転が出来るのでは
と、


通院は、より一層緊張する。

期待を持っていた数年前、
特殊なメガネを作った。
私の後遺症のうちの1つに、
“複視”(ものが2重に見える)の症状があるので、
これをどうにか解消して、運転への一歩に出来ないかと、眼科を受診した。
プリズム眼鏡(目のズレによる見え方を、光学的に矯正する働きを持っているらしい。)というのがあると、知人から聞いたから、どんなものかと思って。
PTの、運転は「大丈夫でしょう。」の
一言を鵜呑みにしてしまった、あの頃の私よ…。
急ぎすぎたな…冷静ではなかったな…。
先走って、ハンドルスピンナーまで買っちゃってさ。
無理もない、
運転出来るか出来ないかは、かなり大きな事だから。
運転出来れば、行動範囲も広がるし、
仮に雇って貰える所があるのなら、
少し離れた所にも、自分のペースで働きに行ける訳で…。
運転が、唯一の希望だったから、
良い方向に考えてしまっていた。
眼科で診て貰って、結果的にはプリズム眼鏡ではなく、片側をさえぎる眼鏡にしましょうという事になった。
私は、片目で見たらちゃんと見えて、
両目で見ると、2重に見えてしまう。
対象物との距離にもよるけど、少し離れていると、2重に見えてしまう。
スマートフォンは、術後は片目を閉じて入力していた気がするけど、
今は大丈夫。
遮蔽(しゃへい)する特殊なレンズ、
お値段 1枚¥12,000…





結局、総額がどれ位だったか忘れてしまったけど、
こんなの

「くもってますよ。」と言われてしまいそうだけど、
あえてそうなっているレンズなのだ。
これをしていれば、
私は2重に見える事なく過ごせるのだけど、結局は視界が遮られてしまうから、
元々取りにくい距離感が、更に取りにくくなってしまう事もあり、外につけていかなくなった。
常にあるめまいも、目の見え方が影響しているのかと思ったけど、関係なかったみたいで、めまいの度合いは何も変わらなかった。
車の運転はというと、敷地内で動かしてみたところ、まるで違う感覚で、
とてもじゃないけど、公道を走る事の出来る状態ではないと感じた。
間違いなく事故る…そうとしか思えなかった。
人を殺めたくなかったし、
何より、
子どもを殺人者の子どもにしたくないという気持ちが強くあった。
免許は、最寄りの警察署では更新出来ず、免許センターに行って、相談する所で、状態を見る為の検査を受けたり、
後日診断書を提出したりして、
後から来る通知で更新を許可するときたけど…
結局車の運転は、自主的にやめた。
免許証の写真は、歪んだ顔の酷い写真で提示もしたくない位。
単なる身分証明書になってしまったけど、証明に使いたくない証明書になった。
そして、未練を絶ちきる為に、
泣く泣く車を売る事にして…
その査定の時のビックリ話はまた近々…。
いや、本当にビックリだった。
車で動けなくなって数年、気軽に行けていた所に行けなくなって、
陽気や距離によっては、苦手なバスを利用するしかなくなった。
有り難いバスだけど、何度利用しても、
やっぱり苦手。
まず、乗り口がどうなっているかで、
だいぶ違う。
バスが来ると、まず気になるのは、
段差があるのか、ないのか。
それから、乗り場からバスの乗り口までの間があいているか、いないか。
体が動けば何てことはないけど、
私には結構な事で、
目の位置がずれて2重に見える事もあって距離感が取りにくい事もあり、
乗る時だけでも結構緊張する。
やっと乗ったら、乗車券を提示して…
座れたら座らせて貰って、
座れなければどこかにつかまるか何かしないと、
最近は運転手さんも発車しないで待ってくれるから、一連の動作に酷く緊張する。



体が思うように動かないのは、
やっぱり大変だな…と強く思うし、
何よりもどかしい。
ほぼ出番のないこのお高いメガネ、
最近は、パソコンを使う時にかけるようになった。
パソコンも2重に見えてしまうから、
このメガネが大活躍。
しかし、高いパソコンメガネだ…。
まぁ、使わないで眠っているより
いいか
