『黒髪』   谷村 志穂


りえの下に届いた一葉の写真は、自らの出生の秘密を解く鍵だった。


昭和初期の函館で亡命ロシア人一家に女中奉公に出たさわは、いつしか主人を愛するようになり子供を産む。


が、生まれたばかりの子を妻に奪われ、一家は戦火を逃れて大連へ。


遊女となったさわは愛する男と子供に再会するため海を渡る・・・。


函館・大連・ロシア、戦火の中で恋に命を懸けた短くも激しい女の生涯が描かれてます。



物語はりえの61歳の誕生日に娘や息子たちがそれぞれの家族を伴って集まってお祝いをするところから始まります。


その後長女から届いた荷物の中に入っていた1枚の写真がりえの心を動かします。

そして自分の母親についての手がかりを得るためりえは函館へと向かいます。


物語は母親であるさわが女中奉公へ行ったところからも並行して進んでいきます。


見出しに舞台となってる場所と年号が書かれてるのでとってもわかりやすいです。


自分の子供と愛する人に会うため命がけで大陸に渡るさわ。


そのためにはどんな苦労もいとわない。


一途な愛に心打たれます。


戦争がもたらす様々な悲劇。

さわの人生だけだとちょっと重くなってしまうけど、今のりえの視点からも描かれてるので読みやすいです。


大陸の地図があったらもっとわかりやすかったかな~。

530ページ余りある長編だけど、一気に読んでしまいました。


悲しい歴史の残る函館にもいつか行ってみたいな。


飛行機苦手な私は北海道新幹線が待ち遠しいです。