ランピー・シアター

                 『かあちゃん』  重松 清

久しぶりに読書ノートにとってもよかった☆マークがついた作品です。

同僚を巻き添えに自分も交通事故で死んだ父の罪を背負い、生涯自分に笑う事も幸せになることも禁じた「おふくろ」。

そんな「おふくろ」と当時7歳だった息子のその後の人生が描かれてるのかな~と思ったら、舞台は一気に26年後に・・・。

「おふくろ」が巻き添えになった人のお墓の前で倒れたことから、息子はその巻き添えになった人の娘と孫に会い今まで知らなかったことが明らかになる。

そして出会った娘と孫も「おふくろ」の生き様を知り、自分の人生を見つめなおす事に。

物語はその孫が通ってる中学校のいじめ問題を中心に、いじめを受けた子・いじめた子・ただ見てるだけだったクラスメイト・担任教師・同僚教師らの母親との関係が連作短編の形で描かれてます。

そして最終章で「おふくろ」と息子の今が描かれてます。

いろんな母子の関係があり、悩んだり苦しんだり・・・。

みんなのさりげない優しさにも泣かされます。

舞台が中学校ということもあり、中高生にも読んでもらいたい作品でした。

そして重松作品の中でよく登場する「許す・許される」を改めて考えさせられました。

この「許す」で頭に浮かんだのが『カシオペアの丘で』

この作品にも☆マークがついてます。

「許す・許される」も程度の差が大きいと思うけど、「許し方・許され方」もタイミングが必要でそこをどうクリアしていくかが難しいなと思いました。

精一杯「母ちゃん」を生きる女性と、言葉にできない母への思いを抱える子供たち。

いろんな「母と子」が登場するこの秋お薦めの1冊です。