海編ラストの番外編です。
ハリーと瑛のこころのうちをこっそりと・・・。
今回も そんなにネタバレないはずですが・・・。 ハリーと瑛の喋り方をまんま書いたつもりですが
ぜひボイスはあの二人で脳内変換してみて下さい(^^)
では どうぞ。
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真夏の太陽がだんだんと西へ傾き始める。
夕暮れの海は少しだけ波音を上げる。
「じゃあ、着替えたらあっちで待ってるからな。」
瑛くんに言われ、私とかおちゃんは更衣室へと向かった。
「どーせ、女子の着替えは時間かかるんだよな。
な、佐伯 アイス食おうぜ。」
ハリーはアイスケースからかき氷のバーを選んでいる。
「は?子どもみたいに。」
「なんだよ。 いらえねーのかよ?」
「いる。」
ハリーと瑛くんのやりとり。
きっと小学生の男の子みたいに見えるんだろうな。
「あー やっぱ夏はアイスバーだよなー。」
ハリーは満足げにバーアイスをかじりながら海沿いのコンクリートの上に腰掛けた。
「あぁ。やっぱうまいな。」
「だろ?だから食えって言ったんだよ。」
ハリーが瑛くんにニコリVサインをした。
夕日が二人の影を少し伸ばしている。
「今日も、終わりだな。」
瑛くんがぽつりといった。
「夕日がまんまるだ。 ・・・あいつの顔みたいだ」
ハリーが独り言。
「・・・な、針谷。」
「あ?」
「おまえってさ、あいつ・・・小波の事が好きなんだろう?」
「はー?」
ハリーはかじっていたアイスを落としそうになった。
「な、 何 急に言い出すんだよ。ばか!」
「ふうん。」
「なんだよ。」
「いや。分かりやすいと思って。」
「は?」
「別に。」
「な、なんだよ。それ!オレは別にあいつのことなんて・・・。」
「あ、小波が ナンバされてる!」
「えー!ま、マジかよ?何処?」
「ウソ。」
「佐伯ー!てめー!」
「まーまー。針谷と小波 お似合いだぞ。」
「は?」
「・・・そろそろちゃんと捕まえとけよ。」
「・・・。分かってるよ。」
「ん?」
「オレだって 分かってるんだけど、なんかまだどうしていいかわかんないんだ。」
「針谷・・・。」
「オレ、あいつの前だと素直に歌えるんだ。緊張もせず、いつもの調子で。
凄く、不思議なんだけど、あいつといるとなんか力が沸いてくるっていうのか・・・。」
「わかる気もする。」
「佐伯?」
「おれも・・・そういうやつがいる。」
「はは。どうせようこといっつもくっついてるやつの事だろ?」
赤くなる瑛の顔。
「図星!おまえだって分かりやすいぜ、佐伯。」
「うるさい。」
「・・・ま、でもよ。オレはまだ、もう少しこのままでいる。」
「ん?」
「まだ、オレの中で自信がきっちり持ててないんだ。あいつのことはすっげ~大切だけど・・・。
そんな大切なやつをぜって~守ってやる・・いや守れるってだけの確証がまだ見つからない。」
「針谷・・・。」
「だから、もう少し、オレはオレを磨いて、オレの歌をもっと広めて
オレの歌で自信が持てるようになったら、そしたら、そんときはあいつを・・迎えに行く。そう決めてんだ。」
「・・・ふ。同じだ。」
「佐伯?」
「おれも今はまだ、答えが見つかりそうにないんだ。今は店の事と学校の事がいっぱいで
だけどあいつを悲しませることはしたくないから、だからもう少し目標が固まったら・・・な。」
ハリーと瑛くんは目を合わせて笑った。
「俺たち。」
「似てるかもな。」
「お待たせ~ ハリー!」
私は濡れた髪をそっとタオルで拭きながら 夕日をバックに座り込んでるハリーを呼ぶ。
「なに、瑛くんとハリーったら 絵になるじゃない。二人で夕日バックにいい顔して。」
「は?」
ハリーが少し照れくさそうに笑う。
「なんかいいこと話してたんじゃないの? 遠くから見たらいい顔してたよ。」
「べつにー!な~んでもね~よ。」
「あ!ズルい!隠し事だ!」
「うっせ~! それよりアイス食え オマエ!」
「何で アイスよ?」
「バカ、夏はやっぱりアイスバーを食うに決まってんだ!」
「え~?」
「いいから、さっさと買ってこい!」
「もう ハリーったら!」
私達のやりとりを微笑ましそうに瑛くんが見つめる。
「お待たせ、瑛。」
「ああ。」
「な~に?なんか嬉しそうだよ?」
「べつに。」
「なによ。瑛ってば。 あ!照れてる?」
「うるさい!かお、おまえもアイス買ってこい!うまいぞ、アイスバー!」
「なによ。それ!」
四人の笑い声が夕日の海に響いてく。
ハリーと瑛くんのナイショ話。 それはいつかくる二人の告白まで秘密の話。
<男同士の内緒話 海で番外編(ハリー&瑛編) 完>