空港に向かう電車の中で、私と彼は何も喋らずに、ただ窓の外に流れては消える景色を見ていた。
流れる景色に紛れて、時折・・・・吊革に掴まる彼の薬指に銀色に光る指輪が目にちらついた。

空港に着くと搭乗手続きまでに少し時間があった。
私たちは滑走路が眺められる展望台に出た。
そこは昔修学旅行で集合写真を撮ったことのある場所だった。
「こんなところに来たんだね」
と、他愛のない会話をほんの少しした。

搭乗手続きのアナウンスがあり、彼は
「じゃ、元気でね」
とだけ言葉を残し、ゲートをくぐっていった。
一度だけこちらを振り向いて、笑顔で手を振ってくれた。

それから私はさっきの展望台に戻り、
いくつかの滑走路を行き交う飛行機を眺めていた。
隣に立っていた女性が、空に消えていく飛行機にずっと手を振っていた。
それを横目でちらっと見て、私はまた目の前の飛行機をただただ眺めていた。
そして彼の乗った飛行機が目の前を横切り飛び立っていった。
彼には私が見えただろうか?
見えたとしたら、私はどんな風に彼の目にう映るんだろうか?
彼を乗せた飛行機は空へ解けていったかのように空色に馴染んで消えていった。
私は飛行機が見えなくなった後も、ただ青い空をじっと見ていた。

なんだかもう・・・・・二度と会えなくなるような気がしながら。
















追記

後にこの光景とスガシカオの「グッド・バイ」という曲が
恐ろしいまでにリンクしてしまい、シカオに目覚めたという訳です。
「グッド・バイ」を聴くと、あのときの空が目に浮かびます。