「センセイ!大変なんですよ!!」
いきなりドアを開けて部屋に入ってきたジョシュー。
「慌ててどうしたんだい、ジョシュー君?
ほら、そんなところで突っ立ってないで
こっちに来て紅茶でも飲もう」
センセイがジョシューお気に入りのカップに紅茶を注ぐと、部屋全体にふわりと紅茶の香りが広がった。
「わぁ!
いい匂いですね!
ブレンドを変えたんですか?
・・・って!
そうじゃなくて本当に大変なんですって!」
ソファーに腰を掛けクッキーを一口かじると、ジョシューは身を乗り出しながら『大変』な事態を説明し始める。
「僕の友達で最近引っ越したやつが居るんですけど、
前に住んでいた家の敷金が返ってこないっていうトラブルに見舞われてるんですよ」
「ほぉ。
それは聞き捨てならないね。
どういう話になってるのかな?」
「7年くらい住んでたらしいんですけど、
家を買ったので引越しをすることにしたんですよ。
引越しの日にどんな感じか業者に見てもらうことになってて
『ずいぶんきれいに使ってましたね。これなら敷金は返ってきますよ』
なんて言われたらしいんです。
で、数日後に敷金の返金についてのハガキがきたんですけど・・
ものすごく帰ってくる金額が少なかったんですって!
で、おばさんが
『こんなに少ないのはおかしいんじゃないか?』
っておじさんに言ったら
『大家さんには長年お世話になったからなぁ。
まぁ これでもいいだろ』
なんて言うのでおばさんはしぶしぶ少ない金額で了承し、書類にサインをして返信したんだって」
「少ない金額ってのは具体的にどれくらいだい?」
「んっと、たしか5~6千円くらい」
「家賃はいくらだったのかな?」
「家賃は・・7万円だって」
「でも一応この時点では返ってくることになっていたんだよね?」
「そう、そうなんですよ。
ここからがトラブルなんです」
ジョシューはぐっと右手に力を込めて先生の目を真っ直ぐに見つめた。
「それから1週間くらいで『了承しました。●月●日に振り込みます』
といった返事がきたんですよ。
で、その日を少し過ぎたあたりでおばさんがちゃんと銀行に振り込まれているかチェックしに行ったらはいってなかったんです。
それで業者に電話したんですよ。
そうしたら、あ、そこ大家と友達のうちの契約を結ぶときに中間に入っていた不動産業者なんですけど
『大家の方に連絡しますので、折り返し電話します』って言ってきたんです。
そこまでは、まあ普通でしょ?」
「そうだねぇ」
「そして折り返しの電話がひどかったんです!
ちょっとまえに書類が来たっていってましたよね。
その書類実はちょっと間違ってたみたいなんですよ。
家賃の値段がなぜか5千円くらい多く書かれていて、敷金の額が違っていたって言うんです」
「それで貰えないって話になるのか」
「それだけじゃないですよ。
その敷金の奴から引いてもお金が足りないから
お金を払えって言ってきたんです!」
「お金を払え?
もう書類にサインして了承しているのにそれを反故にしてしまうのかい?」
「そうなんですよ!
で、そこのおばさんがすごくがっかりしていて
『そんなの信じられない、どうすればいいのかしら?』って
センセイならこういう話の対処法知ってるでしょ?
教えてくださいよ!」
先生は紅茶を飲み干すとにやりと笑った。
「支払いを拒否してなおかつ支払えなんてありえないね。
そんなアクドイ業者にはお金をがっつり出してもらわないとね」
「流石センセイ!
素敵です!!」
ジョシューはそう言うとシャーペンとメモ帳を取りだした。
こんな悪徳業者には正義の鉄ついだぞ!二人とも!!
<次回に続く>







