第4話「決斗!! 唯vs由真 わちは弱虫じゃなか」(1986年11月20日)

 予告編で、ナレーターが「三人の母校・星流学園」うんぬんと言っているのだが、「母校」は卒業したあとに言うんじゃない?

 それはともかく、冒頭、唯が猿のような俊敏な動きで町内を走り回っている。

 OP後、自宅に戻ってくる唯。

 
 唯「おっはよーっ、やっぱ朝の散歩は気持ちよかー、姉ちゃんば、明日からどうね」
 結花「さっさと支度して」

 台所仕事をしている結花も誘うが、冷たくスルーされる。

 唯「うん……」

 元気娘の唯も、姉にそんな態度を取られてはシュンとなってしまう。

 唯「うん、由真、姉ちゃん起こしてくる」

 それでも気を取り直して2階に向かう。

 その際、赤いお守りを落とす。

 そんな簡単にお守りは落ちないと思うが、結花はそれを拾い上げ、にっこり微笑む。

 由真は布団の中で、父親の死の情景を思い出して目に涙を浮かべていたが、唯が来たので慌てて布団を被る。

 唯「おっはよー、姉ちゃん、はよ起きんと学校遅れるよ、姉ちゃん、早く」
 由真「この疫病神!!」

 唯が無造作に布団を引っぺがしてその体を揺さぶっていると、いきなり由真が唯の顔に裏拳を飛ばす。

 
 由真「朝っぱらから明るい声出してんじゃねえ!!」

 唯に枕を投げつける由真。

 はい、みなさん、由真のお尻に注目。

 パジャマ越しに、パンツの線がうっすらと見える(ような気がする)んですねえ。

 ここ、テストに出ます(註・出ません)

 二人は揉み合ったまま階段を転がり落ちる。

 
 結花が仏壇に線香を上げている背後で、由真と唯がバーリトゥードばりの殴り合いをしていると言う、シュールな絵。

 朝っぱらから仲のいい二人であったが、

 結花「いい加減にしなさい!!」

 例によって例のごとく、結花の一喝が飛んでくる。

 結花は続けて、

 結花「暗闇指令からこんな家まで貰ってしまって、今日から私たちハンパな覚悟じゃ暮らしていけないのよ!!」

 シビアな現実を突きつけられ、神妙な顔で点頭する二人。

 そう、その辺の細かい説明は省かれているが、三人は今回から、暗闇指令の組織が用意した新しい家で暮らすことになったのである。

 生活費なども、スケバン刑事の給料と言う名目で暗闇指令から支給されているのだろう。

 サブタイトル表示後、はじめての登校シーン。

 クマ「おはようございます!!」

 結花と由真が門をくぐると、ただちにクマたち番長グループの連中が駆けつけ、大声で挨拶する。

 
 クマ「このたびはとんだ事件で、まことにその、ご愁傷さまです」
 結花「ありがとう」
 由真「でもみんな、変に気なんか使って鬱陶しくすんじゃねえぞ、いいな」
 クマ「オスッ!!」
 唯「さすが、たいした貫禄じゃ……そういうことじゃ、よろしゅう頼むきに」
 ゴロウ「なんだなんだてめえは」
 唯「今日から転校してきたんじゃ、九州にそのひとありといわれた大スケバン・風間唯、これか可愛がってやるきに」
 ゴロウ「なんだとチビ」
 ヒデ「態度でかいんじゃないの」
 唯「でかい? わちはな、そこの風間結花と由真の妹、スケバン三姉妹とよんじょくれ」
 クマ「姉御、ほんとですかい」

 クマが二人に尋ねるが、

 由真「そんな奴知らないよ」
 結花「……」
 唯「なに言うんじゃ、結花姉ちゃん言ってやっておくれよ」

 だが、二人はなにも言わずに歩き出す。

 ヒデ「この野郎、ぎったんぎったんにしてやる」

 クマたちが唯を取り囲むが、

 依田「待ちたまえ」
 クマ「誰だあんた」

 
 依田「今日からこの星流学園に赴任して来た教師、依田です」

 
 依田「君たち、暴力はいけませんねえ、暴力はバツですよ。ただちに解散して下さい」
 クマ「でけえ口たたくじゃねえかよ、先生さんよ」
 依田「番格、星流のクマこと山田熊之介くんですね」
 クマ「……」
 依田「裏番・折鶴の結花こと、風間結花君」
 結花「……」
 依田「総番・リリアンの由真こと、風間由真君」

 新任の教師にズバズバ名前を言われて驚く面々。

 どうでもいいが、「裏番」って、世間的には優等生ぶってるが、裏でスケバンしてる人のことなので、これじゃあ、スケバンだってバレバレなので、あまり意味がないような……

 依田「君たち、英雄気取りだそうですね、でも、弱いものを救う番長グループを自称していても番長グループは番長グループです。僕はこの学園にそう言うものの存在は認めかねますねえ。そのへんのところをひとつよろしく検討願いますよ」
 クマ「なんだこいつ」
 結花「依田先生とかいったね、おぼえておくよ」
 依田「よろしくお願いしますよ」

 物腰はバカ丁寧だが、番長グループに対し堂々と意見を述べる勇気を認めたのか、結花はその場はおとなしく引き下がる。

 無論、結花も由真も唯も、その変な教師が、自分たちの上司・般若の仮の姿とは夢にも気付かない。

 依田と唯は、どちらも1年B組に配属される。

 自分が唯の担任になるよう、暗闇指令に頼んで手を回してもらったのだろうか。

 つーか、前任の教師は何処行っちゃったんでしょう?

 これも暗闇指令が手を回してたとしたら、ちょっと怖い。

 黒板に自分の名前を書く依田。

 その隣では、唯が馬鹿でかい字で自分の名前を書いていた。

 
 唯「風間唯です」
 依田「依田一也と言います、僕と風間唯君は新人です、色々と慣れないこともあるだろうが、よろしく」
 女子「先生、独身?」
 依田「おお、独身だよ」

 唯、自分の席につこうとするが、椅子の上にたくさんの画鋲がおいてあった。

 同じクラスになったヒデとゴロウの仕業だった。

 唯はそれを払い落として腰掛けるが、その途端、椅子が潰れて尻餅を突いてしまう。

 二段構えの巧妙な悪戯であった。

 無論、黙っている唯ではなく、ヒデとゴロウに掴みかかって、大立ち回りを演じる。

 依田、チョークを折って唯の首筋にぶつけ、一時的に失神させる。

 依田「困りますねえ、暴力は許さんと言ってるそばからこれですから」

 依田、しゃべりながら唯に近付くと、人知れずその背中に拳を当て、唯を目覚めさせる。

 依田「廊下に立っててもらいますよー」
 唯「仕掛けたのはこいつらじゃ」
 依田「ほう、ひとのせいにするんですか、私はそう言うのは認めません」
 唯「そんなー」

 依田は猫の子でも扱うように、その襟を掴んで廊下に引っ張り出す。

 
 依田「これを持って僕が良いと言うまでここに立っててもらいます」
 唯「……」
 依田「誰が手のひらで持てと言いました?」
 唯「えっ?」
 依田「親指一本で引っ掛けるんです」
 唯「……」
 依田「君には無理ですか。根性なしだなぁ、君らツッパリなんてものは所詮そんなものなのかな、できなければ謝ったらどうです。二度と悪さは致しませんと誓いなさい」
 唯「……」

 依田に挑発された唯は、言われたとおり親指だけで水がたっぷり入ったバケツを支える。

 依田「少しは骨がありますね」

 罰を装って唯に忍びの鍛錬をさせる、依田独特の指導法のこれが嚆矢であった。

 どうでもいいが、結花と由真の鍛錬はしなくていいのか?

 依田、唯のことなど忘れたように、優雅にクラシック音楽をかけながら、英語の授業を行う。

 負けん気の強い唯は、泣きそうになりながら必死でバケツを持ち続ける。

 やっと授業が終わるが、依田は唯の前を素通りして行こうとする。

 ゴロウ「先生、指の関節いかれちゃうぜ」

 見兼ねてゴロウが注意すると、やっと気付いたように、

 依田「お、忘れてた」
 ヒデ「忘れてた? ひっでー」
 依田「ずーっとそうやってたんですか、案外正直なんですねえ、はっはっはっはっ」
 唯「しゃからしかーっ!!」

 バカにされたと思った唯は、バケツをヒデとゴロウに渡して走り出す。

 ま、ほんとはバケツの水をぶちまけたかったところだが、後片付けが大変だからね。

 唯「わちは負けん、負けんかいね、じいちゃん」

 庭に出て、必死に孤独と戦う唯。

 
 ふと視線を上げれば、木立の中にひっそりと佇む教会のような建物が見えた。

 ここには、高校では珍しい独立した図書館があるのだった。

 
 生徒の姿はなく、司書の女性がいるだけだった。

 暗闇指令の部下・礼亜である。

 彼女までここに入り込んでいたとすると、星流学園自体、暗闇指令の組織が運営している学校なのかもしれない。

 唯がなんとなく笑いかけると、礼亜も微笑み返す。

 唯「あのう、忍者のことについて書かれた本、ありませんかの」
 礼亜「え」
 唯「ないですわなー、ええんです」

 急におっさんっぽい喋り方になった唯、返事も聞かずに立ち去ろうとするが、

 礼亜「あるわよ」
 唯「ほんまにー」
 礼亜「奥の書架に行ってご覧なさい」
 唯「どうも」

 
 行ってみると、確かにこんなコーナーが設けてあった。

 普通の人間なら怪しむところだが、田舎育ちの唯は何の疑いも持たず矢印に従う。

 その一画には、忍者の使う様々な道具が展示されていて、古い忍術書もたくさん並べてあった。

 唯はなんとなく手に取った本を開く。

 
 唯「忍びとは……」

 巻頭には「忍び」の由来が記してあった。

 なんとなく、「民明書房」の本に出てきそうな胡散臭い語呂合わせだが、志野便(正しくは志能便)と言うのは、聖徳太子が使ったとされる、大伴細人と言うスパイ的人物の呼称であり、一応根拠はあるのだが、あくまで伝承の域を出ない話である。

 もっとも、ここにある陽忍、陰忍と言うのは、別にエエモン、ワルモンのことではなく、その活動の仕方の区別に過ぎないのである。

 この辺の記述は、江戸時代に書かれた忍術書「万川集海」などが元ネタであろう。

 唯「陰忍に5行あり、木遁の術、火遁の術、土遁の術、金遁の術、水遁の術、しこうして天然自然のことわりに準ず……」

 夢中で読み耽る唯だったが、

 
 その最中、礼亜がこっそりプレートを取り替えていた。

 無論、そんなアホみたいなコーナーが高校の図書館にあるわけがなく、ここは、唯たちのために設けられた秘密の部屋だったのである。

 もっとも、今は誰もいないのだから、そのままにしといても問題なさそうだけどね。

 
 唯「骨指術のうち、活殺指頸拳……」

 続いて、具体的な忍術についてのページ。

 どさくさに紛れて「この秘孔を素早く突くべし」って書いてある……

 あと「まさに一撃必殺の技」とか、どう見ても現代人が書いたとして思えない文章が見えるのがお茶目である。

 ついでに、その下の文章をよーく見ると、「直心影流」がどーのこーの書いてあります。

 唯「さっきのバケツ、使える」

 それはともかく、唯は、さきほどの罰が、偶然にもその技の鍛錬になっていたことに気付く。

 なお、成績は由真とどっこいどっこいの筈の唯が、ここだけ妙に賢くなって、難しい古文をすらすら読んでるのは、大目に見てやってつかぁさい。

 CM後の昼休み、番長グループが屋上にたむろしている。

 そこに唯がやってきて、さっきのことを姉たちに話そうとするが、ヒデたちに邪魔される。

 
 唯「はなせ、わちは姉ちゃんに用があるんじゃ」
 由真「しつこいねー、すくなくとも学校じゃ赤の他人なんだよ」
 クマ「誰の妹であろうと番長グループでないメンバーを通すわけにはいかねえんだよ。それが掟ってもんだろ」
 唯「そんならわちをこの番長グループにいれてくんない、なぁ、姉ちゃん」

 唯は必死に食い下がるが、

 由真「うるさいねえ、弱虫はお断りだよ」

 
 由真「お守りなんてガキだぜ」
 唯「じいちゃんのくれたお守り」
 由真「こんなものがなくちゃダメなのかよ、だからてめーは弱虫だってんだよ」

 自分も布団の中で泣いていたことは棚に上げ、唯を弱虫呼ばわりすると、お守りをフェンスの向こうに放り投げてしまう。

 しかし、まぁ、ひどい演技だね。

 唯「なにすんじゃ!!」

 当然唯は激怒して、目の前にいたクマに体当たりするが、クマは唯を思いっきり殴り返す。

 唯が、一方的にボコられるのを見て、

 
 ゴロウ「ほんとにいいんですか」

 ゴロウが結花たちにお伺いを立てる。

 だが、結花と由真は顔を見合わせるだけで、止めようとはしない。

 地を這う唯、助けを求めるような視線を姉たちに向けるが、

 
 二人はベンチに腰掛けたまま、背中で拒絶する。

 
 クマ「この野郎」

 なおも女の子相手に容赦のない鉄拳を加え続けるクマ。

 うーん、いくらなんでもこのシーンのクマは凶暴過ぎて、引く。

 姉たちがあくまで無視するつもりなのを知った唯は、クマの巨体を持ち上げると、

 唯「そんなにわちが好かんのなら、いんじゃるわ、勝手にさらせ!!」

 泣きながら叫ぶと、クマの巨体を放り投げて走り去る。

 
 唯「東京なんか二度とこんわい」

 完全にいじけた唯は、九州行きのトラックの荷台に乗って、さっさと宮崎へ帰ってしまう。

 翌日の朝、遠心寺に到着するが、帯庵の姿はなく、

 
 帯庵の声「ゆえあってワシは旅に出る。もう一度お前とまみえることがあるならそのときはお前の成長を楽しみにしているぞっ」

 無責任極まりない置手紙が掛け軸にして下げてあるだけだった。

 ぼんやりと裏手の池を眺めている唯。

 唯「もうわちには帰るところもない……行くところもない」

 寂しさと心細さに目に涙を溜める唯だったが、「忍びとは刃の下に心をおいて耐えることなり」と言う帯庵の言葉を思い出し、もう一度東京に戻ることを決意するのだった。

 唯はまたトラックの荷台に便乗し、東京に向かう。

 
 唯「勝つとは思うちょらん、じゃけんど、姉ちゃんらとたたこうて最後まで立っておられたらそのときは」

 その道中も、梨の入った段ボール箱を親指だけで持ち、鍛錬に余念がない唯。

 ただ、箱を元に戻すときに、どう見ても空箱にしか思えない軽さなのがNGです。

 唯「わちはお前らの妹じゃちゅうて、胸を張って言える」

 さらに、逆立ちをして指だけで体重を支える唯であった。

 その後、グラウンドに唯の姿を見つけ、結花が教室を飛び出す。

 由真も出て来て、唯と見詰め合っていたが、いきなり唯の顔をビンタする。

 由真「ばかやろう、ちょっといじめられたぐらいで家出なんかしやがって、この弱虫、だから妹じゃないってんだよ」

 おいおい、いじめたほうが威張ってるで……

 由真、それでも、ボロボロになったお守りを返してやるが、唯は由真をビンタすると、

 唯「お前らに決闘を申し込む」

 放課後、水門近くの土手の上で対峙している唯と由真。

 クマたちも遠巻きにして見物している。

 結花「どっちかが相手の急所に一本決めたら勝負ありとするよ」

 「お前ら」と言っていたが、何故か、唯と由真のタイマンとなる。

 
 水路を挟んだ反対側の堤防で、釣り人が糸を垂れていたが、そこに礼亜が降りてきて、

 
 礼亜「正気ですか?」
 般若「……」

 と言うのは嘘だが、般若が、とても忍者とは思えない目立つ格好をしているのは事実である。

 無論、素顔だと、般若=依田だと視聴者にバレちゃうからなんだけど、いくらなんでも不自然だ。

 さて、唯と由真のバトルとなるが、特に面白くはないのでカット。

 
 とりあえず、唯のかっこいい立ちポーズでも貼っておこう。

 ちなみに飛んだり跳ねたり、高度なアクションはすべて唯がやっているのは、無論、中村由真さんには到底出来ない真似だからである。

 それでもドラマの上では、二人の実力は伯仲していた。

 結花(危ない、このままではどっちかが重傷を負うか、もっと悪くすれば……)

 色々あって、由真がダッシュしてリリアンを振り下ろすが、

 
 唯はそれを親指の間で受け止めると、剛力でへし折ってしまう。

 うーん、せいぜい二日鍛えただけで、そんな急に強くなるかしら?

 
 唯はさらにテロップ付きで本に書かれていた技を繰り出し、

 
 親指を、由真の喉に押し当てる。

 もっとも、ほんとにやってしまっては人殺しになってしまうので、寸止めしたと思われる。

 結花「勝負あった、唯一本」
 礼亜「活殺指頸拳」
 般若「見事だ、唯」

 対岸から見ていた般若も、思わず感嘆の声を上げる。

 唯「勝った、由真姉ちゃんに勝った」

 
 結花「唯、でもこれはほんとの勝負じゃない、由真に迷いがなければあんたは……」

 喜ぶ唯に結花が水を差すようなことを言うが、どう見ても由真が迷っていたようには見えないので、ただの負け惜しみにしか聞こえない。

 だが、それを言うとまたこじれてしまうので、唯は逆らわずに受け入れる。

 唯「わかっちょる、ほんでもわしは嬉しい、姉ちゃん、これで認めてくれるじゃろ、わしは弱虫じゃない。わしは姉ちゃんらの妹じゃ」
 結花「……」
 由真「……」
 唯「同じ風間の兄弟なんじゃもん」

 結花と由真は、まだ唯を妹として認めるのに抵抗があるようだったが、そこにクマたちが駆け寄って、唯を神輿のように担ぎ上げて番長グループ入りを祝福するのだった。

 般若「あっという間に異国の空の下に自分の場所を見付けたな、やはり天性のものを持っているのか、風間唯」

 騒いでいるクマたちをよそに、結花が、由真に一枚の写真を見せる。

 
 由真「これはうちの焼け跡から出て来たオヤジのアルバムにあった写真だろ」
 結花「唯が持ってるのよ、この女雛を」
 由真「えっ」
 結花「やっぱり唯は私たちの……それにしてもこの雛人形は一体?」

 紆余曲折の末、唯は風間三姉妹および番長グループの一員として認められるのだった。