サイエンスカフェにいがたで、面白い実験を見てきました。@ジュンク堂書店新潟店
今回のテーマは「水の不思議 ~網で水をとめる」。ゲストは夏目雄平さん(千葉大学理学研究科基盤理学専攻 教授)です。会場が、いつものジュンク堂書店新潟店 地下1階カフェスペースというオープンな場所柄、何やら楽しそうな実験風景に足を止め、カフェに参加された方もいらっしゃいました。また、今回は小中学生の姿もあり、親子で科学の楽しさにふれる時間を持つなんて、いいなぁ~とほのぼの。大人も子どもも実験は大好きなんですね。テーブルの間を回る夏目さんの手元をじっと見つめるまなざしに大人・子どもの区別なく、同じように目を輝かせていたのも印象的でした。
水は私たちに身近な物質です。サラサラ流れるもののようで、意外に粘っこい場合がある──と、水の不思議に注目する実験のはじまりは、「金網でコップのなかの水の落下は止められる」というもの。水を満たしたコップの上に金網をかぶせて全体をひっくり返すと、すべての水は落ちてしまいます。ですが、この操作を慎重に慎重に行なうと── 網から水がこぼれない!わぉ!網の目のところで水が丸くなってふんばっています。── こ、これは、表面張力!
水は表面積をできるだけ小さくしようとする性質があり、これを表面張力というんですね。水はなぜ丸くなるのか、分子どうしはお互いに引っ張り合って水面の形をつくっています。水の中では1コの分子はまわりじゅうから同じ大きさの力で引っ張られていますが、水面では、空気に接している方向からは引っ張る力が働いていません。つまり、水の内側へ引っ張る力だけが働きます。この力は、水面を小さくしようとするので水は丸くなるんですね。
網から水がこぼれない…それは手品のようで手品ではありません。ザルを洗った後、振ったくらいではザルの目の水を切ることができないことを思い出せばわかること。水の表面張力は、とっても強力。
さまざまな実験が次々にテンポよく続いて、超撥水性シートの構造のお話になりました。
超撥水性シートからヒントを得たものに、超撥水GAME「aqua drop 」があります。車の塗装やレインコートに超撥水の技術が利用されているのはなんとなくわかりますが、まさか、おもちゃもあったとは!
そして、実用化が待たれる商品開発のお話もあり、これからが楽しみです。
表面張力を弱める界面活性剤のことなども、もう少しお聞きしたかったです。
水には未だよくわかっていないことも多いそうで、ミズテリアスでございます。
夏目さんの著書、「やさしい化学物理」(朝倉書店)は増刷中。著書にはご専門分野の他に、「小さい駅の小さな旅」(新風舎)、「北信濃・東信濃 駅から訪ねる小さな旅」(信濃毎日新聞社)もあり、多才な方のようです。
楽しいひとときでした。
関連情報
サイエンスカフェにいがた第53回『水の不思議 ~網で水を止める』
http://www.ecosci.jp/n-cafe/yokoku53.html
保存Ustream
http://www.ustream.tv/recorded/17745504