「弓道の最高目標について述べよ」と「真、善、美について述べよ」の違いをどう

考えたらいいのだろうか?

 

1 弓道の最高目標について述べなさい。  

   弓道教本第一巻42頁参照
     一射ごとに真実を探求して精進することで得られる「真なるもの」の美
    と、弓によって親しみ、協同し、和平であり、心的平静を保つ境地に立つ訓
    練をすることで得られる「善なるもの」の美を、具体的に表現した美しい射
    礼が弓道の最高目標である。

 

 最高目標をこう読もうと思えば読める気がするが、無難な回答としては弓道の最高

目標は真、善、美の追求である。真とは云々。善とは云々。美とは云々。と記述する

のがよさそうだ。

 

2「射は立禅」という言葉を日常生活とどのように関連付けていますか。  

   弓道教本第一巻46頁参照
    的中を求めて射の練習に取り組むわけだが、的のみにとらわれ自己を忘れて
   しまってはならない。的に心をとらわれた人の射は醜い。日常生活においても
   目先の成果のみにとらわれて己を忘れてしまったり、周りの状況がつかめなか
   ったりしたのでは成果が得られなかったり、遠回りになったりするだけでなく
   その姿はあさましくもある。
   「射は立禅」とは弓によって悟りに達することを意味する言葉である。弓射に
   よって人生を深くまた高く、ゆたかにすることの経験ができるのである。この
   経験の積み重ねが日常生活のあらゆる場面に波及してよりよい生活が送れるの
   である。

3 「真、善、美」について述べなさい。  

   弓道教本第一巻42頁参照

     「真、善、美」は弓道の最高目標である。
     弓における「真」とは「真の弓は偽らない」ことであって、矢は真っ直ぐ
    に飛ぶから的中に偽りはないが、偽りのない射とはどんなものかという疑い
    が、それからそれへとたくさんおこる。これも弓における真実への探求の一
    面である。そして現在弓を射ているその大部分は「真実の探求」であるとい
    える。弓射は真実を探求する。一射ごとに真実を探求して精進するものであ
    る。一射ごとに「真」を求めてゆくのが弓道の「みち」である。
     「善」というのは、主として弓道の倫理性を指す。すなわち礼とか「不
    争」とかは静かな境地であり、中国で昔から「君子」といわれる世界のこと
    をいうのである。儒教で説明する場合には、「進退周還必ず礼にあたる」と
    か、「君子は争わず、必ず射か」というように心的態度が「平常心」を失わ
    ないことを力説する。もし弓によって争うとか、相手をにくむとか、反撃す
    るというような思想が含まれているとすれば、それは現代人の弓道にはなら
    ない。弓によって親しみ、弓によって協同し、和平であり、心的にも平静を
    失わない境地が必要な条件である。その訓練なしには、現代の弓道はありえ
    ない。
     弓における美とは何かといえば、「真なるもの」は美しく、「善なるも
    の」も美しい。これを具体的に表現しようとする射礼もその一つである。日
    本の弓は弓自体が最も美しい弓だといえるが、その荘厳性と人間の身体周
    還、それに静かな心的態度がリズミカルに動くことは、われわれの美的感覚
    を刺激することが大きい。力を用いないで弓を開くところに射の美しさがあ
    る。

4 弓道修練の眼目について述べなさい。  

   弓道教本第一巻16頁参照
    現代弓道の修練の眼目は
    ○射法、射技の研修  ○礼に即した体配の修練
    ○射品、射格の向上  ○人間完成の必要
    である。
    体配と射法射技渾然一体となり、品格のある射が生まれなければならない。
   日本の弓道は的中至上主義をとってはいない。弓道には調和の美がなければな
   らない。
    更に弓道の要諦は至誠と礼節である。人に勝つことよりも「誠」をつくすこ
   とがより大切である。弓道の修練にあたってはこれらのことを心に銘記し、正
   しい信念と勇気をもつことが肝要である。

5 「介添の心得」について説明しなさい。  

   弓道教本第一巻150頁参照
    (1)介添は、射手の所作を熟知し、みずからも作法に明るく射に練達して
      いて、いつでも射手をつとめうる人であること。
    (2)介添は、常に射手の行動に注意し、適当に射手を補佐する役である
      が、射手はなるべく介添の補佐を受けないように行動すべきで、介添も
      必要以上に行動してはならない。介添は、射手を引立てるように務める
      こと。
    (3)介添は、常に射手の陰にあって低きにつき、目立たぬように行動する
      こと。介添が大きな所作や目立つような行動をすることは、厳に慎まな
      ければならない。
    (4)介添は、射手を中心として間合い、気合が完全に一致し、渾然一体と
      なって両者の間に少しの隙もないように心がけること。
    (5)介添相互の間も一体となり射手の心気を乱さぬよう心がけること、た
      とえば、「第二介添」が矢を抜く場合、射手の間に注意してほどよく運
      び、射手が射終った後の矢の運び方についても、射手の動作に注意し、
      緩急よろしきを得て「第一介添」に渡し、この間射手を待たせぬよう、
      また介添相互の間にも間が伸びないよう射手を軸とし、その動作に応じ
      て両者一体となって行動しなければならない。
    (6)「第一介添」は、射手の後方下座寄りの適当なところ(射場の広狭に
      応じて適当に位置する)に跪坐し、手の指先を腿の両側にたてて指建礼
      の姿で控える。「第二介添」は、垜において、下座よりに蹲踞し、左手
      は腿の上におき、右片指建礼の姿で控える。屋外では介添はともに蹲踞
      する。

6 指導時に心掛ける危険防止について述べなさい。  

   全弓連発第18-33号参照
   1 用具面について
    弓・矢はいずれも良く手入れされたものを使用すること。
    ◇籐は完全に巻かれていること
    ◇弦を張る高さは15cmを標準とし、低く張らないこと
    ◇筈や箆(シャフト)に傷のあるものは使用しないこと
    ◇自分の矢束を知り、短いものを使用しないこと
   2 行射面について
    ◇指導者の許可なく行射しないこと
    ◇射位の相互間隔を守り、極端に狭いところで行射しないこと
    ◇他人の方に向けて絶対に引かないこと(まねをしてもいけない)
    ◇巻藁矢で的前に立たないこと
    ◇巻藁は、安全な場所に設置し、適当な距離で射ること。また、巻藁の前後
     左右の近いところに人が居ないようにすること
    ◇古い巻藁は、中心が硬くなり射た矢が跳ね返ってくることがあるので注意
    ◇巻藁から外れた矢が跳ね返らないよう巻藁の後ろに畳などを立てておく
    ◇的に向かって射る場合、暴発することがあるので、その外れ矢を防止する
     設備(矢止めネット等)を整備して安全を期すること
    ◇矢取りに出るときは、射手の動作を確認して連絡し合い、赤旗を出して矢
     取りを行うこと
   その他、安全の確保は全てに優先することを踏まえて行動する

 

    指導時に心掛ける危険防止は四段の試験問題にも出題されていたし、三段

   の試験問題では「日常修練で仲間の安全の為にどんなことを心掛けています

   か。」という文言で、二段の試験問題では「危険防止について心掛けているこ

   とを述べなさい。」という文言で出題されている。狩猟道具、戦争の武器であ

   った、殺傷能力を持つ弓を扱うのだから注意喚起は当然なんだろうな。

 

7 各種「ハラスメント」についてどのようなことを心掛けていますか。  

  公益財団法人全日本弓道連盟 倫理に関するガイドライン参照
     セクハラとは、相手の意に反し、不快にさせるような性的な行動及び言動
    で、これにより、相手の立場や、相手の活動環境を悪化させることをいう。
     暴力行為とは、相手の体に対する物理的な暴力のほか、脅迫的・威圧的・
    侮辱的な言動によって、相手を精神的・身体的に傷つける行為のすべてをい
    う。
     パワハラとは、地位・立場・職権等の優越を背景にして、相手に義務のな
    いことを行わせたり、人格や尊厳を害したりするような言動で、相手の立場
    や、相手の活動環境を悪化させることをいう。
     自らがセクハラ・暴力行為・パワハラを行うことがないよう、常に相手の
    人格を尊重して行動し、特に、以下の点は十分に意識して行動しなければな
    らない。
    (1) 本人としては軽い冗談や親近感を表すつもりの言動であっても、相手の
     意に反し、不快にさせる場合があるということ。
    (2) 指導等の目的であっても、相手の身体に触れるときは、本人の了解を得
     るとともに、相手を不快にさせないよう配慮すること。
    (3) 相手が不快に思っていると感じた場合は、決して同じ言動を繰り返さな
     いこと。
    (4) セクハラに対する相手の対応によって、指導や評価に関して不公平・不
     利益な扱いをしてはならないこと。
    (5) セクハラは、男性が被害者となる場合や同性間で起こる場合もあるほ
     か、練習中や競技中だけでなく、その後の飲食の場等生活全般でも起こる
     問題であること。
    (6) 相手が指導に従わなかったり、意見が食い違ったりした場合でも、よく
     話し合い、第三者の意見も聴くなどして、相互に理解し合うように努める
     べきこと。
    (7) 指導や懲罰等の目的であっても、決して暴力行為を行ってはならないこ
     と。
    (8) 脅迫的・威圧的・侮辱的な言動(人格を否定するような言動や、存在を
     無視するような態度、人を揶揄するような言動も含む。)は、物理的な暴
     力以上に人を傷つける場合があること。
    (9) 練習や競技の場など、弓や矢を用いたり保管したりする場所での暴力行
     為は、生命や身体に対する重大な結果につながりかねない危険を有してい
     ること。
    (10) 業務や指導等の一環としての行為であっても、一般常識に照らして遂
     行不可能な課題やノルマを課すことや、嫌がらせなどの不当な目的で命令
     をすることはパワハラとなる行為であること。
    (11) セクハラや暴力行為は、立場や地位の優位性等を背景に行われれば、
     パワハラにもなる行為であること。
    (12) パワハラは、上司と部下、指導者と被指導者などの間だけでなく、同
     様の立場や地位にある者同士の間でも、何らかの優位性が背景になれば、
     起こりうる問題であること。
     セクハラ・暴力行為・パワハラを受けた者が、勇気を持って拒絶の意思を
    示したり、身近な者や相談窓口に相談したりできるような雰囲気や環境を作
    るように努める。
     セクハラ・暴力行為・パワハラを行っている者、または被害を受けている
    者を知ったときは、本人に忠告したり、助言したり、身近な者や相談窓口に
    相談したりするなどして、防止に努める。

8全弓連が公表している「自然・環境保護憲章」についてあなたの考えを述べなさい。  

  付録2 自然環境保護憲章参照
     国際社会の一員である日本国における弓道に関する唯一の中央競技団体で
    あり、日本国の社会や国民全体に対して責任を負う公益法人である全弓連と
    して、国際的にも社会的にも重要である自然保護、環境保護・希少な野生動
    物保護のための条約や法令を遵守することは当然である。
     全弓連は弓道の普及振興が目的であり、伝統文化の継承も任務の1つでは
    あるが、自然・環境保護を無視した伝統の継承などあってはならない。
     矢羽の使用に関する準則を策定し、時機に応じた見直しを行うとともに、
    その遵守の徹底を表明した憲章は誠に価値あるものである。
     真・善・美を探求する弓道人の一人として、憲章に反する行為は絶対にし
    ないことを誓う。

 

 こんなもんでどうだろうか。今後もレポート形式の学科試験が継続されるのだろう

か?そうあって欲しいな。採点する方も楽だと思うがなぁ。

 

正射目指して日々鍛錬!

 

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