それは、5日の夜のことだった
親方への最後の奉公で彼のアパートに滞在していた
ふと漏らした親方の言葉に、わたしは憤慨した
焼酎をそこそこ頂いていたし、
溜まっていたプチ不満の山が噴火してしまった
それでも捨て台詞などは吐かず、それなりの挨拶をしてわたしは親方のアパートを辞した
ただ、わたしの表情で親方は察したものと思う
夜の9時半過ぎのことでもあり、最寄りの交通機関は営業を終了していた
八潮駅まで歩くしかない(わたしの辞書にタクシーは無い)
わたしは、パソコン他荷物を抱え、サンダル履きで飛び出した
大体の道順は判っていたが、いざ歩いてみると、
地図上で想像していた道とは異なる場面が多出する
最後の最後に些細なことで諍いを起こした自分が居た堪れなかったし、
サンダルも健康サンダルだったもんだから足も痛いわで、
道中なんでもない様なことに神経が尖った
冷静に考えて歩いたら知れた距離なのだけれど、
そんな調子だったので、当日の万歩計は11、561歩を記録していた
日付が変わろうかという頃、わたしはやっと金町の居候先に落ち着いた
その後親方からの連絡は一切ない
そして、明日親方は離日する
わたしは再び茨城へと移動する