明るいひこもりの一生に一度の高齢出産・育児
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まい ふぇーばりっと どくたー

妊娠が解ってその日のうちに、安定剤を処方してくださった先生の所へFAXで相談させてもらった。
先生はお忙しいので、空いている時間にゆっくり読んでもらおうと電話では、相談しなかった。

夕方、先生は診察時間外に電話を下さった。
まず、ひとこと

「赤ちゃんができたんだね、良かったね。おめでとう。」

私の祖父ほどの年令の方から、穏やかに優しくお祝いの言葉をいただいた。

なんだろう。
この、うれしい気持ちは。
旦那に言ってもらうより、先生に訥々と言ってもらった言葉が染みた。
嬉し恥ずかしの気持ちは久しぶり。

「あ、はい、ありがとうございます。」
「お薬のことだけどね、あなたが不安に思う方が、赤ちゃんも不安になると思うからね、僕は飲んでもいいと思ううんだ。今は、毎日飲まなくても少し落ち着いているんでしょう?」
「はい、この所、飲まない日の方が多いかもしれません。」
「そう、じゃあ本当にしんどい時は飲みましょう。あなただけの身体じゃないからね。」

うあ~、言ってもらえた~。
ドラマやなんかで、よく妊婦さんがお姑さんとかから言われるこのセリフ!
『あなただけの身体じゃない』
ちょっぴり、あこがれていたんだよなぁ~
やっぱり、この先生って大好きやわ。

FAXでは書けなかったいろいろな思いの丈を先生に相談してみた。
先生は静かにゆっくりと、うなずいて聞いて下さった。

「奇形や内臓疾患の報告は今の所、ないからね。毎日、常用してるわけでもないから、穏やかに過ごせるにこした事がないよ。大丈夫、がんばりましょう。また、何か困ったら電話してきて」
「はい、先生、ほんとにありがとうございます。」

最後は涙声で何をしゃべってるのかわからなかった。

先生のクリニックは妊娠検診は対応していらっしゃるけど、分娩までは対応されていないし、クリニックまで電車を乗り継いで1時間もかかるので、パニックの私には到底、通う事ができない。
実際、先生のクリニックが近所だったらなぁととても悔しかったです。

先生は、私が安定剤のお薬を貰いに行く時でも、最後に必ず
「大丈夫。がんばりましょうね。無理しないで。」
と、おっしゃって下さいます。
その一言で全身の力が抜け、魔法にでもかけられてるかのようにリラックスしてしまうのです。

通勤途中に具合が悪くなり、偶然に飛び込んだクリニックの先生が、私にとって心身ともに安心できる方で本当にラッキーでした。っていうかベタ褒めドクターです。

これで、不安が少し落ち着いた。
旦那に報告しておこう。

先生の話を淡々と聞いている旦那。
「わかった。とにかくこんな事(妊娠)は今までなかったんや。縁があったら生まれてきてくれる。」
「子供は、親を探してきてくれるんやて。5ヶ月まで待ってもいい?私、薬を飲むのやめておくから。どうしても、しんどくなったら堕ろすかもしれん。」

私は旦那に嘘をついた。堕ろす気なんてさらさらない。旦那の反応を試してみた。

「…そか。うん。そやな。お前と一緒にいる時間の方が長かったもんな。悪阻とかは別としてお前がしんどくて苦しむんなら、仕方がないかもしれん。俺は諦めるわ。」

旦那はお腹の子供より私を選んでくれた。

   ごめんなさい

心の中で、私は旦那を試した事を深く反省した。
子供ができた!と言う事で私達は、少しずつ本当の気持ちを話す事ができるようになった気がした。

貴重すぎる旦那のコメント

産婦人科の診察の間、ずっと携帯の電源を切っていた。
家に帰る途中で、電源を入れると珍しく仕事中の旦那からのメールが入っていた。

「どうやった?」

なんだか、じわ~っと胸の奥があったかくなってきた。
今まで、夫婦と呼ばれていてもどこか他人行儀になってきてたこの頃。お互いの時間を優先にしていて、ただの同居人になっていたのに、一応気にかけてくれてたんや。

「うん、間違いないみたい。2ヶ月目になるみたい。でも、やっぱり色々問題はあるかも。」
とりあえず、メールの返信をしておいた。

普段は、返信しても興味のないことには、シカトする旦那だけど今回はすぐに返信してきた。

「問題ってなに?とりあえず帰ってから聞くわ」

彼なりに気になっている様子。
旦那は、朝早い仕事で昼前後には帰宅します。

家に着くと、初めての妊娠と初めて赤ちゃんの姿に自然と顔がほころび、ずっとお腹を触っていました。

「ちっちゃいねぇ、まだ1cmにもなってまいんだ~。初めましてだねぇ。可愛いねぇ。」

正直、何が写っているのかわからないモノクロの写真を見て可愛いと言えるのはスゴイかも…
にまぁ~と笑っていると旦那が走って帰ってきました。(信じれない行動…)

「な、何が問題なん?」

「ご飯はどうするの?何、食べる?」

「問題は?」

「…うん。やっぱ、今、安定剤飲んでるやろ。妊娠初期の薬はやっぱ恐いやん。先生は、今の所は一応大丈夫やて言うてるけど、取り扱った事のない薬やから100%は大丈夫とは言ってはらないねん。しかも、高齢やしな。」

旦那がうつむいた。

「そうか。アカンかもしれんか?俺は勝手な事、言うけどな。もし、障害がある子供が産まれたら正直、よう育てんと思う。その可能性があるんか?」

「今のところ、この薬を飲んでて、そんな症例は日本ではないらしい。薬をくれはった先生に電話で相談してみるけど。産婦人科もやってはるねん。子供、欲しくないなら産まんとくわ。今のうちやで」

「初めて授かったんや。正直、俺だってうれしいわ。普段、子供は嫌いや言うてても、また自分の事となると違うやわ。とにかく、薬の事を聞いてみいや」

びっくりした。
「うれしい」と言ってくれた。
喜んでいるのは私だけと思っていた。会話の途中で「堕ろせ」と言われるのかと覚悟した。

しばらくすると、

「お前が安定剤なんか飲むようになったんは、俺にも責任は少しあると感じてるんやで。できるだけ、いい結果になるとええな。」

なんや、今日は別人のようなコメントばかりで、涙が出て来た。

産婦人科、初診。

飛び石連休の谷間の平日。
朝、一番に病院についたが、診察時間までに受付を済ませている慣れた妊婦さん達に追いやられて、9:00の診察開始にすでに10人以上待っている。

「やられた~」

しかも、初診なんで問診票になんだかんだと記入するのに時間がかかって、どんどん受付が後になっていく~。中には、「えっ、この人妊婦?」と思われる母のような方。

人間ウォッチャ~なんで、興味シンシン

1時間以上は、待った。
古くからある町の産婦人科なんで、(あまり評判はよくないが、家から歩いて5分なので)とても狭い待ち合い室にたくさんの妊婦&子供たち。人込みはやっぱりしんどいので、もう帰ろうかと思った時に呼ばれた。

「検査薬で反応がでたそうですね。」
「はい、これ…」と、検査薬をかばんから取り出そうとすると
「あ、いいですよ、うちの病院でも妊娠かも?って時はこれで検査しますから。信頼性あります。」

    へぇ~、産婦人科でも使ってるんか…

「えっ、あれ、今まで一度も妊娠されてないんですか?」
「は、はい。一度も」

    なんだよっ。念を押すように。

「いや、ご結婚されて12年もたたれてるからね。どこか他の病院で不妊治療をされてきたんですか?」
「いえ、治療は一度もしてません。」
「そぉですか~。自然に。いやぁよかったですね。じゃ、あかちゃんがいるか確認しましょう。」

   なんか、こ恥ずかしい…あ、でも今から下半身丸見えになるから、もっと恥ずかしいや。

うぃ~ん
いつも思うが、この体勢は女性としては拷問プレイのようで情けなくなる。
足をこれでもかって広げて、男の先生の顔面付近まで競り上げられて、カーテンの向こうの金属音が気になるし、診察後の消毒も不快感だ!!

「はい、これが赤ちゃんのはいってる袋ですね。小さいけど間違いなく妊娠されていますよ。」
「あ、あ、そうですか。ありがとうございます。」

   なんで、お礼を言ったんだろう…でも、ほんまにうれしい!!これは夢かも?涙が出て来た。

「今はまだ2ヶ月に入ったころです。最終月経がちょっと覚えてないようなのですが、一応予定日は1月の6日くらいです。あくまでも予定ですからね」
「私は高齢出産の対象に入りますか?」
「35歳ですよね、微妙ですが高齢でも安産の方や若い方でも注意しなければならない方がいて、体質や赤ちゃんの育ち方とかでいろいろな場合があります。お産は個人個人違います。ま、用心にこした事はないかもしれませんが。」
「あと、私は1年ほど前から抗不安剤を飲んでいます。妊娠に気付く前も飲んでいましたが、赤ちゃんに影響はあるのですか?」
「どんな薬?名前はわかりますか?」
「はい、これです。」

震えながら、先生に錠剤を差し出すと、先生は書庫から薬辞典のような分厚い本を出して調べはじめました。

「う~ん、今のところ奇形や内臓トラブルの報告は出ていませんね。口蓋シレツの可能性が0、3%と記されていますが、日本での症例はないとあります。おそらく大丈夫でしょう。薬は飲んだ方がラクですか?」
「そうですね。でも、一時期に比べたら、飲む回数が減って飲まない日も増えてきましたから、飲まないようにします。」
「薬を出してくれた病院の先生に一度、相談してみたら?うちの病院ではこの薬は取り扱ってないから、必要ならとりよせますが。」
「わかりました。薬は内科でもらいましたけど、担当の先生は産婦人科もされてますので相談してみます。」

妊娠初期の薬物は恐い…ってよく聞くので、またまた不安になってきたわ。
会計を済ませるまで少しパニくってきてしまった。口の乾き、ドキドキ、お腹痛い…

会計の時、一万円札かと思いきや千円札が財布に一枚!!!
後で、持ってくるからと、とりあえず家へ。
歩いても5分の距離だけど、自転車で移動。帰りはさすがに自転車に乗れなかった。

貴重な夫婦の会話

ゴールデンウィークのまっただ中。
御近所さんに知れ渡るようなトイレの中での大絶叫。
そんな事、私の驚きにしたらありんこのような出来事。

朝からパチンコのモーニングサービスに出たっきり、戻ってこなかった旦那がやっと帰って来た。
もう、10年以上も一緒にいると、階段を昇る足音で本日のご機嫌がわかってしまう…
今日はリズミカルな感じやから、ねばって勝ってきたんやな。

そう、旦那は不機嫌な時は、1週間2週間くらい口をきかない時もある。

とりあえず
「あんなぁ、これやねんけど」
「なんや、これって?」
「アタリが出たみたいやねん」
「なんの?変わったくじびきやな。何がもらえんねん」
「こども」 「なんやねん。訳わからん事いうなぁ」
「月のもんが来てないから、試しに買ってきて調べてみてん。このマーク、妊娠反応やねん。」
「ふ、ふ~ん。そんなんでわかるん?けど、それって確実ちゃうんやろ?」
「まぁそやなぁ、確実な結果じゃないやろな。」
「まぁ、試しに明日にでも病院に行ってみたら?」
「うん」 旦那も私同様、私達夫婦には子供ができる事があり得ないと諦めてるみたいで、半信半疑、どうせ何かの間違いやって…くらいに冷めた感じの様子に見えた。

けれど
しばらくして、食事の時に旦那から質問攻めにあった。(A型なんで気になり出したら止まらない) 「なんで、あんなもんで解るねん?今、何ヶ月とかわかるん?飯食って、つわりみたいになるん?どのくらいしたら、確実にわかるん?」などなど…

意外と興味あるみたいやん。 そんな質問されても、こっちも初めてのことやねんから解らへんわい。 普段、会話のない静かな食卓が久しぶりににぎやかになった。

こんな一日もあるのねぇ

今から3年前のゴールデンウィークの真只中。
いつものように近所の子供達と遊んでいました。

来たで。

人陰に気付き、ふと、見上げると暗い顔の旦那のおかんが何か言いたげに立っていた。

「あんなぁ…」

旦那のおかんは前年に熟年離婚。一人暮らしになって、とっても暇になってからしょっちゅう愚痴を言いにやってくる。
色々話す内容は、やっぱり別れたおやじの事。

かる~く聞いとくつもりやったけど、なんだかやけに気持ち悪い。
気持ち悪いのは、おかんの顔でもおかんの話の内容でもない、今までに経験したことのないムカムカ~っと込み上げてくるものがある。(おかんの嫌味にはしょっちゅうムカムカするがそれでもない)
言いたいことを言ってスッキリしたおかんは、スタコラと市場へ買い物に行った。

「ゴールデンウィーク中は、毎日来よるんちゃうんかい。だるいなぁ。近所に引っ越してきたんが運の
つきやなぁ。ま、ええか。とりあえず、御飯食べよ」

コンビニで買ってきた大好きな鳥料理が入った弁当を一口食べたら…
「うぐっ、んなんや~!!まずっ!」
いつも食べてるお気に入りの弁当が、まさに砂を噛むようにまずいっ
「む~、なんか気持ち悪いし、後で食べよ」

その後もムカムカは治まらない。
胃腸薬がないので、歩いて5分の薬局へ買いに行く事にした。
その日は抗不安剤は飲んでいなかったで、行く途中で急激に不安感が襲ってきました。
「あ~、気持ち悪いのいにきたで~、ドキドキが」
不安な気持ちにになるとわけもなく動悸がして、口が乾き挙動不振状態になるのです。

「早よ買って、帰ろ~、やばい~。まだ、大丈夫やで~」
急いでレジに向う時に、フッと目に止まったのが妊娠検査薬。
たいがい避妊具と共にレジの脇に並んでる。

「んんっ!そういえば、今月来てないで…」

買うのに少し迷ってしまったのですが『ゲーム感覚』で買ってみました。

猛スピードで帰宅して、薬を飲みべッドに丸まって気持ちが落ち着くのをまちます。
好きな音楽やマンガを読んだりして、不安な気を紛らわせます。

しばらくして気分も落ち着き、尿意を催したのでトイレへ
「あ、そや。いっぺん使ってみよ」

妊娠検査薬を手に99%反応は出ないだろうとは思っていましたが、今回はなんとなく「ひょっとしたら…」という気持ちが強かったので検査をしてみるました。
妊娠反応を待つ数十秒の間に色んな事を考えた。
「むなしいだけかも…やっぱりなぁ~やろうなぁ…ま、しゃあないか…」
検査薬を見てみると「まっしろ」

「ん、なんじゃい。何にもないで。やっぱりあかんかってんわ…あ~あ、アホやなぁ。無駄使いやわ」

トイレのゴミ箱に捨てようとした時、くるっと検査薬を回してみると、しっかりと妊娠反応のしるし。

「うわ~っっっっっっっっっっっっ、まぢで~ええええ」

オバカな私は、検査結果の裏側を見てガックリしてたのです。

人生設計は立てない方が気楽?

結婚して11年目にマイホームをギリッギリの予算で購入。大借金?!

私達夫婦には、絶対に子供が授からないと思い、夫婦共働きの収入を見込んで住宅ローンを組みました。夫婦の部屋は別々で、もちろんベッドも別。
私は子供が欲しくて、色々調べたりしましたが、旦那は全く興味がなく自分の時間が最優先のタイプ。
「もう、12年も経ってるのだから、今さら不妊治療しても無理なんだろう、私には母親になるチャンスすらないんだから」と
自分に言い聞かせ、二人で好きな事をして暮らそうと決めて新築の一戸建てを購入しちゃいました。

ある日、私は出勤途中の電車の中で具合が悪くなり、途中下車した町の小さな病院に駆け込み「神経性不安症(パニック障害)」とされ、抗不安剤を飲むようになりました。
たまたまお世話になった病院の先生は、大阪では有名な大病院に勤務されていた内科、産婦人科の先生をされてた方で、お年を召してらっしゃっていて穏やかな口調で、私の不安感を聞いてくださいました。先生に出会って本当に救われた~ッ感じです。

もともと、電車や車、エレベーターなどの閉ざされた密閉空間になると落ち着かなくなり、動悸がしたりしていました。
「うる星やつら」の面倒君みたいに「恐いよ~、狭いよ~」と叫ぶ事ができたら、もっと気楽になれたかも…

そんな環境の中でも、子供は私達をわざわざ選んで来てくれました。