『大草原の小さな家』「メアリーの失敗」 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

銀幕と緑のピッチとインクの匂い

映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

これも好きなエピソードです。大好きなメアリーが、大失敗をしてしまうのに、好きとは、これいかに!?

 

学校で試験が行われることになります。受けたい人だけが受ける上級の試験。なんと、最優秀賞を取った人には、立派な辞書が与えられるのです。その辞書を見た途端に、メアリーの目はハートになります。勉強が大好きなメアリー。でも、あんな立派な辞書は買ってもらえない。これは最大のチャンスなのです。

 

メアリーは夜遅くまで勉強しますが、ローラがランプの灯がまぶしくて眠れないとぼやきます。仕方なしに、ランプとビードゥル先生から借りた歴史の本を持って、納屋に行って勉強します。しかし、知らないうちに眠ってしまい、ランプを蹴飛ばして火事になってしまうのです。自分で消そうとしますが、手に負えないと思ったメアリーは母さんを呼びます。みんなで一生懸命水を運んで、火は消えてボヤ程度で済みますが、母さんは何でこんなことになったのか、と激怒します。試験のために勉強したかった、というメアリーの返事に、母さんは怒って、試験なんか受けなくてよい!と言ってしまうのです。あの、先生だった母さんが、です。

 

ビードゥル先生から借りた歴史の本は、台無しになり、メアリーは先生に本を返すために、オルソンさんのところでアルバイトを始めます。仕事の傍ら、オルソンさんのところで参考書を読ませてもらって、必死に勉強するメアリー。母さんに、先生に試験を受けないと言いなさい、と言われたことは、まだ先生に話していません……。

 

最初このエピソードを見た時、完璧なメアリーでも失敗するんだ、猿も木から落ちる、と思いました。いや、メアリーと猿を比較するのはあんまりだ。弘法も筆の誤りですね。それにしても、メアリーの勉強ぶりはどうでしょう。家の仕事、オルソンさんのところでのアルバイト、それらをこなしながら勉強するのです。学校の行き帰りも勉強の時間です。私、胸を張って言えます。メアリーみたいに、こんなに夢中になって勉強したことがありません。参考書だって買ってもらえたのに、恥ずかしくなってきます。

 

母さんは、オルデン牧師にメアリーに罰を与えたことを相談しますが、オルデン牧師は罰は罰です、と言います。まあ、余計なお世話。インガルス家では、このチャンスをものにしないと、こんな立派な辞書は持てないですよ。おそらくは、メアリーが最優秀賞を獲れただろうに。でも、結局母さんとの約束を守ったメアリー。ふたりとも意地を張らないで、試験を受けさせてあげたらよかったのに。あの、辞書、もったいなかったなあ。私なら、試験を受けてしまったかもしれません。でも、その後に大きなわだかまりが残ってしまいますよね。