『タイタニックの最期』 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

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TITANIC

1953年アメリカ映画 20世紀フォックス 白黒 98分

監督 ジーン・ネグレスコ

出演 クリフトン・ウェッブ バーバラ・スタンウィック ロバート・ワグナー オードリー・ダルトン セルマ・リッター リチャード・ベイスハート ブライアン・アハーン


 

1912年4月、史上最大級と言われる豪華客船タイタニック号が、ニューヨークに向けて出港する。富豪のリチャード・スタージェス(クリフトン・ウェッブ)と妻ジュリア(バーバラ・スタンウィック)、年頃の娘アネット(オードリー・ダルトン)と息子のノーマンの4人家族も、この船に乗っていた。スタージェス一家は、アメリカ人だったが、ずっとパリの屋敷で暮らし、ヨーロッパの社交界でも有名だった。今回は、久しぶりのアメリカへの里帰りである。しかし、リチャードとジュリアの仲は、上手く行っていなかった。一方、娘のアネットは、船でアメリカの大学生ギフォード・ロジャース(ロバート・ワグナー)と知り合う……。


 

1912年4月10日、23時40分。タイタニック号は、ニューファンドランド島沖で、巨大な氷山にぶつかります。乗客は2200名。救助されたのは、712名。この作品は、1912年に発表された調査報告書に基づき、史実に正確に製作されたものです。ただ、登場する一家は恐らくフィクションでしょう。


 


ヒロインには、私の好きな大女優バーバラ・スタンウィック。彼女は、娘と息子を連れて、タイタニックの処女航海に出ます。しかし、乗らない筈だった夫のクリフトン・ウェッブが、お金の力でチケットを手に入れて、乗船してきます。チケットを譲った人は、寸でのところで命が助かったわけですね。この辺り、物語上、どう処理するんだろう、気の毒すぎる、と思いましたが、クリフトン・ウェッブは、チケットの経緯を忘れていなくて、きちんと紳士的行動をするあたりには、ほっとしました。



 

彼らは大金持ちで、パリに居を構えてヨーロッパの社交界で活躍していますが、本来はアメリカ人。ヨーロッパのあちらこちらに行って、恐らく贅沢三昧の旅をしてきたようですが、妻はそんな生活に疲れているようです。彼女は、祖国アメリカのミシガンに帰りたいのです。夫に話しますが、夫はまともに話を聞いてはくれません。

 

社交界の中でレディとして育ってきた娘は、家はパリだと言い放ち、アメリカに帰る気はありません。息子は、10歳をいくつか超えたところだと思いますが、とても父親を尊敬していて、「サー」とまで呼びます。長いパンツの話は良かったですねえ。


 

アメリカの大学生役でロバート・ワグナーが大きな役で出演しています。彼は好きな俳優です。彼は年を取ってからもハンサムでしたが、50年代ではぴかぴかに若くハンサムで、3大ハンサムに入れてもいいぐらいです。この時代の彼の映画を、是非一度ご覧ください。


 

恐らくモリー・ブラウンをベースにしたと思われるお金持ちだけれど、ちゃきちゃきのセルマ・リッターがこれまた素敵です。セルマ・リッターは、どの作品に出ても、視線を釘づけにされてしまう好きな女優さん。


 

リチャード・ベイスハートも、良かったです。この人も、いつどんな役を演じても、とてもうまい人です。


 

旅を楽しむ沢山の人を乗せて、タイタニックは氷山にぶつかり、大きな悲劇が起こるのです。積まれていた救命ボートはあまりにわずか。女性と子供から、救命ボートに乗せていきますが、船には沢山の人たちが残ったままです。沈みゆく船の上で、楽団が最後まで演奏をすることを命じられます。最初に流れるのは、「ロンドンデリーエアー」。そして、最後は讃美歌。

 

 

タイタニック号を描いた映画は、実に沢山あります。タイタニックが沈んだすぐ後から、各国で沢山作られたそうです。しかし、大きな映画会社が、スターを集めて作った映画は、私が知る限りはこの映画が最初ではないかと思います。セミドキュメンタリー式で描かれた『SOSタイタニック忘れえぬ夜 』が、一番質が高いかと思いますが、ラストが一番泣けたのはこの映画でした。


 

トレイラーです。