『ジュリーと恋と靴工場』 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

ジュリーと恋と靴工場 [DVD]/ギャガ
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SUR QUEL PIED DANSER

監督 ポール・カロリ コスティア・テスチュ

出演 ポーリーヌ・エチエンヌ オリヴィエ・シャントロー フランソワ・モレル ロイック・コルベリ ジュリー・ヴィクトール

靴屋で働いていたジュリー(ポーリーヌ・エチエンヌ)は、試用期間が終わったらクビにされてしまう。色々な仕事を探すが、不況の中、仕事がなかなか見つからない。ようやく靴工場で雇われ、試用期間を送ることになる。そこは、ジャック・クチュールというブランドの高級靴を作る工場だった。しかし、グローバル化の波で、靴職人たちがリストラされそうになる。怒った彼女たちは、パリ本社に乗り込み、リストラ反対を叫ぶ。新米のジュリーも、その騒ぎに巻き込まれてしまうが……。



歌って踊るフレンチミュージカルです。舞台は、靴工場。高級ブランドの靴を、一足ずつ手作りしている工場です。なるほど、靴ってこうやって作るのか、と勉強になります。、ジャック・クチュールが、何故支持されてきたのか。使っている皮から、縫製技術まで、すべてが超一流だからです。それを作り出しているのが、工場のベテランの女性職人たち。それなのに、今までブランドを支えてきた彼女たちをリストラするというのですから、彼女たちが怒るのは当然です。直接、会長に訴えようと、彼女たちはパリにまで赴きます。ジュリーは、試用期間に目をつけられたくないので、おとなしくしていたいのですが、周りがそういう風なので、自然と巻き込まれていってしまうのです。



靴工場で働いているのは、ベテランの妙齢の女性ばかり。仕事着を着て、綺麗な格好をしているわけでもありません。でも、彼女たちの服が色とりどりで、そこに高級靴がいくつも出てきて、フランスらしいお洒落なミュージカルになっています。



でも、単純なミュージカルではありません。不況の時代、若者たちは就職に苦労しています。ジュリーのたったひとつの望みは正社員になることなのです。靴工場の女性たちも、急にリストラされては、今までに培ってきた技術を活かす場所もなくなるし、生活にも困るでしょう。グローバル化で、人件費がずっと安い国で作れる時代です。品質より、金額。老舗ほど、困る時代になっています。そんな時代背景を、ミュージカルで表現しています。



高級靴には縁のない私ですが、見ているだけで目の保養になります。



トレイラーです。