『ビッグ・ウェンズデー』 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

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BIG WEDNESDAY

1978年アメリカ映画 WB カラー 120分

監督 ジョン・ミリアス

出演 ジャン=マイケル・ヴィンセント ウィリアム・カット ゲーリー・ビジー リー・パーセル バーバラ・ヘイル パティ・ダーバンヴィル サム・メルヴィル



1962年夏、カリフォルニアの海辺には、サーファーたちが毎日のように集っていた。特に、最高のサーファーと言われるマット・ジョンソン(ジャン=マイケル・ヴィンセント)、ジャック(ウィリアム・カット)、リロイ(ゲーリー・ビジー)の3人は、特別の友情で結ばれていた。サーファーの大先輩ベア(サム・メルヴィル)は、1950年にやってきた大波「ビッグ・ウェンズデー」のことを彼らに語り継いできた。ビッグ・ウェンズデーを制した時に、本物になれる、と。3人も、この大波が来る日を待ちながら、青春を謳歌していた。やがて、彼らにベトナム戦争の召集令状が届く……。  


サーフィンという言葉を聞いただけで、一番に思い出すのはこの映画です。主役の3人がサーブボードを持って立っているあのスチールです。サーフィンに特に興味のない私ですが、この人たちよりサーフィンを愛している人の映画を観たことがありません。それぐらい印象的な映画です。



最初に見たのは、多分、映画が公開されてすぐにTV放映された時ではないでしょうか。今回、再見して、こんな馬鹿なこと、してたっけ?と驚きました。若者の馬鹿パーティや馬鹿騒ぎ満載だったんですね。60年代ヒットポップスにのって、サーフィンと悪ふざけに明け暮れる彼ら3人。最高のサーファーでありながら、酒に逃げるマット。真面目なジャック。ちょっとイカれたリロイ。性格の違う3人ですが、サーフィンで強く結びついて、どこに行くのも一緒でした。でも、時代がベトナム戦争へと突入していきます……。



最初の頃の彼らは若かった。多分、20代前半ぐらい?人生の全ては、サーフィンと女の子のことでいっぱいでした。この時、時が止まってくれたら良かったのでしょう。でも、容赦なく時間は流れ、アメリカはベトナム戦争に突入し、激動の時代が始まります。彼らも、また年を取っていきます。いつまで、愛するものをひたすら愛し続けられるのか。



主役の、ジャン=マイケル・ヴィンセントは、70年代、大変な人気がありました。スクリーンやロードショーに、大きなスチール写真がよく載っていました。切り取って取ってあります。ハンサムですから、女性にもモテたとは思うのですが、男性ファンも多かったようです。若い男の子が「兄貴」と慕うスターだったという話も聞きます。そんなジャン=マイケル・ヴィンセントの、代表作でしょう。



いくつもの出会いや別れに、グッと来る作品ですが、波との出会いもそのうちに入ります。まさしく海の壁となっている大きな波を、果たしてどのように撮影したのでしょうか。映画館でこの映画を観た人は、きっと大波でのサーフィンシーンの臨場感を思う存分味わったのでしょう。波、波、波、に尽きる映画です。とんでもない危険が待っているのに、何故サーファーは大波にのりたがるのでしょう。危険なことだけれど、ほんのちょっとだけわかった気持ちになりました。



楽しかった青春時代を慈しみたくなる傑作です。



トレーラーです。