『ピクニック』1955年 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

ピクニック [DVD]/ロザリンド・ラッセル
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PICNIC

1955年アメリカ映画COL カラー 113分

監督 ジョシュア・ローガン

出演 ウィリアム・ホールデン キム・ノヴァク ロザリンド・ラッセル ベティ・フィールド スーザン・ストラスバーグ クリフ・ロバートソン アーサー・オコンネル エリザベス・ウィルソン


カンザスの田舎町。ハル・カーター(ウィリアム・ホールデン)は、大学時代の友人を訪ねて、貨車に乗ってやってきた。お金のないハルは、老婦人の家で庭の掃除を請負い、食事を食べさせて貰う。隣のオーウェンス家は、女性ばかり4人暮らし。母(ベティ・フィールド)と、マッジ(キム・ノヴァク)とミリー(スーザン・ストラスバーグ)の娘たち。そして、独身の学校の先生ローズマリー(ロザリンド・ラッセル)だった。姉のマッジは、町一番の美女で、ボーイフレンドのアラン(クリフ・ロバートソン)の家は事業を展開しているお金持ち。そのアランこそ、ハルの大学時代の友人だった。アランと再会を果たしたハルは、誘われるままに労働祭祭りにピクニックに行くことになる……。



冒頭、貨物列車に多分ただ乗りしてウィリアム・ホールデンが現れます。随分、汚い姿。そして、見知らぬ家に行って、いきなり「手伝いをさせてください」と言います。まるで、西部劇の流れ者みたいです。そこの家の女性が良い人で、手伝いを始める前に食事をさせてくれます。そして、作業を始めたホールデンを見つめる隣の家の女性たち。暑い夏の日で、ホールデンは上半身裸で汗だらけなのです。ただ、掃除をしているだけなのに、ホールデンが妙に官能的で、この映画のそれからを暗示していきます。

その隣の家は、女性ばかりの4人暮らし。夫で苦労した母親と、美人の娘と、頭がいいのに美人の姉に引け目を感じている妹。そして、下宿人の中年の女教師です。母は、美しい姉娘マッジが、町のお金持ち息子アランと付き合っていることに満足しています。いえ、それ以上。「女の美しいのは数年だけ。若いときにチャンスを逃せば美貌も宝の持ち腐れ」と、はっきり言ってのけます。アランとの結婚が娘の幸せだと信じて疑わないのです。マッジもそれを当たり前のように受け入れていました。


妹のミリーは正反対です。ボーイッシュで、眼鏡をかけていて本を読むのが大好きな彼女は、大学4年間の奨学金を貰えたほど頭の良い子なのに、「美人じゃない」ことで姉のマッジに劣等感を抱いているのです。


独身の女教師は、毒舌家。この人が、映画をかき回して、とんでもない存在感を見せてくれます。


年に一度の町総出のピクニックは、大盛況。楽隊が演奏しているし、歌のコンテストもあれば、二人三脚など様々なゲームがあります。そして、夜はダンス。このピクニックに、ハルも参加します。ハルの相手はミリーですが、ハルが気に入ったようであるミリーも女の子らしくお洒落して楽しみます。実際、スーザン・ストラスバーグは美人だと思うし、引け目を感じる理由は感じないんですけれどね。


そして、夜のダンスシーンに流れる美しい曲「ムーングロウ」。


たった一日のピクニックに、偶然やってきた流れ者が起こすハプニングを描いた映画です。元が舞台劇なだけに、かなりきついセリフも満載。見ごたえのある映画です。



トレイラーです。