『レ・ミゼラブル』 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

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LES MISERABLES


2012年イギリス映画 カラー 158分


監督 トム・フーパー


出演 ヒュー・ジャックマン ラッセル・クロウ アン・ハサウェイ アマンダ・セイフライド エディ・レッドメイン サシャ・バロン・コーエン ヘレナ・ボナム=カーター サマンサ・バークス アーロン・トヴェイト イザベル・アレン 


 




 1815年、フランスでは王政が復活。庶民は、生活の苦しさに喘いでいた。一切れのパンを盗んだ罪で、19年間服役したジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、仮釈放されるが、生活に窮し、迎え入、れてくれた司教のところから、銀器を盗む。しかし、司教の慈悲に触れて、銀の燭台を貰い改心する。1823年、ジャン・バルジャンは、マドレーヌと名前を変え、工場の経営者になり、皆の尊敬を集め、市長にまでなる。しかし、その市にジャベール警部(ラッセル・クロウ)が着任する。ジャベールは、仮釈放のまま姿を消したジャン・バルジャンを追い続けていた。ジャン・バルジャンが経営する縫製工場でお針子として働くファンテーヌ(アン・ハサウェイ)は、工場長のお気に入りだったが、子供がいることがわかり、ふしだらな娘として首になってしまう。身を落としたファンテーヌを救ったジャン・バルジャンは、ファンテーヌの娘コゼットを引き取って幸せにすると誓うが……。




 文豪ビクトル・ユゴーの名作『レ・ミゼラブル』は、今までに何度も映画化されてきました。本作は、ミュージカルの舞台で大成功したものを、映画化したものです。『レ・ミゼラブル』……小学校の時は、子供向けの『ああ、無情』として読んだものです。おかげで、ジャン・バルジャンの名前は、忘れ得ぬものとなりました。映画もいくつか見たことがあります。ジャン・ギャバン、ジェラール・ドパルドュー、リアム・ニーソンなど、錚々たる俳優が主役を演じています。




 この映画はミュージカルですが、セリフも歌になっています。オペラのような感じですね。ミュージカルでは、『シェルブールの雨傘』がそうでした。つまり、映画の間中、歌っているので、好き嫌いは分かれると思います。




 舞台があれだけ大ヒットしただけあって、歌曲は傑作が揃っています。有名な、「I Dreamed a Dream/夢やぶれて」。私は力強い「The People's Song/民衆の歌」が好きです。




 肝心の役者の歌唱力も、なかなかのものです。ヒュー・ジャックマンは、ミュージカルの舞台に立っていたと聞いたことがあるので安心して聞いていられます。コゼット役のアマンダ・セイフライドも『マンマ・ミーア!』で美しい歌声を聴かせてくれています。驚いたのが、アン・ハサウェイ。あの難しい歌を歌いこなすまでには、どれほどの練習をしたことでしょう。エディ・レッドメインが歌えることにも驚きです。




 私が一番良いと思った役は、エポニーヌ(サマンサ・バークス)。エディ・レッドメイン演じるマリウスを愛する女性の役です。歌も演技も、いや、彼女の存在自体が良かったです。




 貧しい国民たちが蜂起して、フランス革命が起きました。王政は崩壊し、貴族は逃げ出し、国民主権の国が出来る筈だったのに、その後に起きたのは革命派の恐怖政治。また、王政復活など、この頃のフランスは、激動の時代を送っていました。その貧しさを示すのが、ジャン・バルジャンのひときれのパンなのでしょう。



 体制に反対して立ち上がったのが、インテリの学生だったことも、また考えさせられることです。歌も素敵ですが、時代背景、革命の理想と現実など、色々なことを考えさせてくれる作品です。


トレイラーです。