『華麗なるギャツビー』1974年版 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

銀幕と緑のピッチとインクの匂い

映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

華麗なるギャツビー [DVD]/パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン

¥1,500
Amazon.co.jp



THE GREAT GATSBY
1974年アメリカ パラマウント カラー 141分
監督 ジャック・クレイトン
出演 ロバート・レッドフォード ミア・ファロー ブルース・ダーン カレン・ブラック スコット・ウィルソン サム・ウォーターストン ロイス・チャイルズ



 イーストエッグは華やかなリゾート地で、ニック・キャラウェイ(サム・ウォーターストン)の親類のデイジー(ミア・ファロー)が住んでいる。デイジーの夫トム・ブキャナン(ブルース・ダーン)とニックは、大学の学友で親しくしている。他に、優雅に遊び暮らすジョーダン・ベイカー(ロイス・チャイルズ)も出入りしている。ニックの家の隣には、謎の豪邸が建っている。夜ごとパーティを催す、謎の大富豪ジェイ・ギャツビー(ロバート・レッドフォード)の邸宅である。実は、彼は貧しい家に生まれ、第一次大戦中に出会った恋人に裏切られ、それから、財界でのし上がったのだった。何故なら、お金持ちの家に生まれた恋人が、お金持ちとしか結婚しないと言ったからだった……。ギャッツビーは、思ったより気さくな人物で、ニックとギャッツビーは友人になるが……。


 F.スコット・フィッツジェラルドの原作を映画化したものです。舞台は、1920年代。フィッツジェラルドが好んで描いた、華やかで退廃的な時代です。


 この映画は、ニック・キャラウェイの視点から見ていますが、彼は決してお金に恵まれているとは言えない人です。でも、付き合っているのはお金持ちばかり。だから、お金持ちの生活が、余計にキラキラして見える気がします。


 トムとデイジーの生活も華やかです。トムは時々鼻持ちならない男ではありますが、自信にあふれた男で、おまけに車の修理屋の妻マートル(カレン・ブラック)と不倫を重ねています。これが重要なポイント。マートルは、夫に深く愛されていますが、今の質素そのものの生活には飽き飽きして、華やかな生活に憧れています。


 ニックの親戚であり、本作のヒロインであるデイジーは、風に飛ばされた真綿のように掴みにくいところがあります。幼い娘を「美人のおバカさんに育てるわ」と言ってしまうほど、女性であることを現実以上に認識している人。美しいこと、お金持ちであること、が彼女にとって全てなのです。そんな役を、ミア・ファローが、あの独特のちょっとほんわりした感じで演じています。


 そして、謎の男ギャッツビー。彼が夜な夜な派手なパーティを開くのは、ただひとりの人物を待ち続けるためでした。ギャッツビーから招待状が来たことで、彼のパーティに行ったニックは、ギャッツビー本人と会い、彼にまつわる様々な噂、昔、人を殺した、とか、油田を掘り当てたとか、スパイだったとか、そういった噂とは違い、気さくな人間であることを知るのです。


 20年代を再現した美術、衣装が素晴らしいです。特に、デイジーの薄紫のシフォンのようなドレスと大きな帽子。20年代というとローウェストのミニスカート的なイメージがありますが、お金持ちの20年代は、また違うものだったようです。欲を言うなら、ヒロインがもうちょっと美人だったらなあ、と。

 
 デイジーの友人を演じるロイス・チャイルズは、美人で着こなしもさすが。ニックと一緒にいる機会が多いのですが……。


 20年代を描かせたらピカ一であったフィッツジェラルドが紡ぎあげた不思議な愛の物語です。


トレイラーです。