キャバレー [DVD]/ライザ・ミネリ,マイケル・ヨーク,ヘルムート・グリーム

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CABARET
1972年アメリカ映画 カラー 125分
監督 ボブ・フォッシー
出演 ライザ・ミネリ マイケル・ヨーク ヘルムート・グリーム ジョエル・グレイ マリサ・ベレンソン フリッツ・ヴェッパー



 1930年代初頭のベルリン。スター女優を目指すサリー・ボウルズ(ライザ・ミネリ)は、キャバレー、キットカットで歌い踊るのが仕事。同じ下宿にイギリス人青年ブライアン(マイケル・ヨーク)が引っ越してくる。性格も生き方も全く違うふたりだが、いつしか意気投合していく。ブライアンは、生活を支えるために、英語を教える生徒を取る。サリーの友人フリッツ(フリッツ・ヴェッパー)や、ユダヤ人の大金持ちの令嬢ナタリア(マリサ・ベレンソン)もそんなひとりだった。ある日、サリーはドイツの青年男爵マクシミリアン(ヘルムート・グリーム)と知り合う。そこから、ブライアンも巻き込んだ複雑な三角関係が始まる。



 ライザ・ミネリは、ご存じジュディ・ガーランドの娘です。似ているようで似ていない。でも、やっぱり似ている。特にクライマックスの「キャバレー」の曲は圧巻で、ジュディの歌声が乗り移っているような気持ちになってきます。


 ミュージカルは楽しいもの、と思っている方には、この映画はちょっと違和感があるかもしれません。ミュージカルではあるのですが、歌と踊りはキャバレーの舞台上に限られているからです。しかし、見方を変えれば、急に歌い出すミュージカルが苦手な方には、ごく自然な形で見られる作品でもあります。

 
 スターになることを夢見るアメリカ娘は、今日もベルリンのキャバレーで歌い踊ります。ソロパートを持っていることから見て、ここでは彼女はスター級なのでしょう。でも、彼女が目指すのはもっともっと上。そんな時に、イギリスからやってきた真面目な青年ブライアンと出会い、恋に落ちたのですが、友人のままでいようということになります。かなり破天荒なライザ・ミネリと、真面目な青年役を演じさせたら抜群のマイケル・ヨークという、意表をついたコンビが面白いですね。

 
 マイケル・ヨークが教える生徒たちにも、また別のロマンスが進行していきます。しかし、ひとりは大金持ちのユダヤ人の娘。街には既にナチスの憲章をつけた人々が闊歩し始める中、不穏な空気を常に感じさせて物語は進みます。

 
 突然現れた青年男爵マクシミリアンを演じているのは、ヘルムート・グリーム。私の好きな俳優です。この映画では、まあ何なんですが、『ルードウィッヒ』が良かったんですよね。

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 ライザ・ミネリが、毛皮を着て「ケイ・フランシスみたい」と言ったり、水着を着て「クララ・ボウ」みたいと言ってみたり、まさしくその時代が見えてきますし、彼女のスターに対する憧れも見え隠れします。


 ジョエル・グレイは、この作品でオスカーの助演賞を獲りました。キャバレーの舞台の司会者です。でも、自分でも歌い踊っています。白塗りした彼からは、毒のある歌が次々出てくる。正直言って、彼の存在はぞっとします。そして、それこそが、30年代ドイツ、戦争の足音が遠くから聞こえてくるドイツを体現しているように思えてなりません。


トレイラーです。