『無法の王者ジェシイ・ジェイムス』 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

True Story of Jesse James [DVD] [Import]/Robert Wagner,Jeffrey Hunter,Hope Lange

¥2,033
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明日、NHKBSプレミアムにて、放映されます。

THE TRUE STORY OF JESSE JAMES
1957年アメリカ映画 20世紀フォックス カラー 93分
監督 ニコラス・レイ
出演 ロバート・ワグナー ジェフリー・ハンター ホープ・ラング アグネス・ムーアヘッド ジョン・キャラダイン アラン・ヘイル・Jr


 1876年ミネソタ州ノースフィールドの銀行を襲ったジェシイ・ジェイムスの一団は、挟み撃ちに遭い、仲間がバラバラになりながら、決死の逃避行を続ける……。

 南北戦争時、兄フランクは南軍に入っていた。クアントリルのゲリラ団に属していたフランクは、北軍から追われていた。家にやってきた北軍と北軍支持者に酷い目に遭わされたジェシーは、兄を追って南軍に入る。そこから、全てが始まったのだった。


 ジェシー&フランクのジェイムス兄弟を中心とする伝説の無法者一団は、どのように出来たのか、何をしたのか、といったことを、関係者の回想から進んでいく史実に近い物語です。

 何度も映画化されたジェイムズ兄弟ですが、今回は、ジェフリー・ハンターがフランクをロバート・ワグナーがジェシイを演じています。いや、私としては、思わず笑みが浮かぶような嬉しいキャスティング。50年代のロバート・ワグナーには、以前一目惚れしてしまいました。こんなハンサムはなかなかいない、というほどの甘いハンサムぶりでした。今回は髭に、乱れた髪、砂だらけの格好で、ハンサムさはさほど出ていませんでした。ジェフリー・ハンターのあの魅力的な目は健在でした。

 ジェイムズ兄弟が何故強盗稼業に入ったのかという理由は映画によって違います。この映画では、南北戦争。南部を支持して、現実に兄フランクが南軍に入った一家を、隣人の北軍支持者が密告して、弟ジェシイをむち打ちするという酷いことが行われます。それに腹を立てたジェシイは、若い身で、兄を追って南軍に入隊。ここでは描かれていませんが、兄弟はクワントレル大佐(大佐だったかな?)率いるゲリラ部隊に所属していました。ゲリラ部隊ですから、酷いことも行ったようです。

 戦争を除けば平和な農民だったジェイムズ一家を追い詰めた北軍と支持者に対する復讐。そして、食うや食わずの農民に対して、銀行業を牛耳り富を独り占めする北部の資産家に対する怨みがあったことなどが、彼らが無軌道に走った理由として描かれます。実際のところはわかりませんが、南軍崩れと言われた人たちを多く輩出した南北戦争の傷口は、簡単に埋められるようなものではなかったのでしょう。

 監督が、『理由なき反抗』のニコラス・レイであることや、主演のロバート・ワグナーやジェフリー・ハンターが若いことから、オリジナルの『地獄への道』に比べて、無軌道な青春といった要素が色濃く描かれているように思います。

 ジェシイを恋人として妻として愛するジーに、ホープ・ラングが、兄弟の母親役にアグネス・ムーアヘッドが扮しています。ジーは、どうしてあんな無軌道なジェシイを愛し続けることが出来たのか、いささか理解に苦しむところではあります。清純派のホープ・ラングが演じているだけに、さらに悩むところですが、ワグナー&ラングは美男美女のカップルですね。そして、母親役のアグネス・ムーアヘッド。病床の姿は痛々しいですが、農場を切り盛りしていた時の女丈夫ぶりは、さすが彼女!『奥さまは魔女』で、サマンサの母親のエンドラを演じた人ですね。

 仲間は今一つインパクトに欠けますが、主役兄弟は若くて格好良い無軌道青春西部劇。『地獄への道』のリメイクとして作られたものですが、この時代の色が出ていると思います。


トレイラーです。