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FROM HERE TO ETERNITY
1953年 アメリカ映画 白黒 118分 コロンビア
監督 フレッド・ジンネマン
出演 バート・ランカスター モンゴメリー・クリフト デボラ・カー フランク・シナトラ ドナ・リード アーネスト・ボーグナイン ジャック・ウォーデン
音楽 ジョージ・ダニング
この年のアカデミー賞作品賞、監督賞、助演男優賞(フランク・シナトラ)、助演女優賞(ドナ・リード)など、8部門を受賞した映画です。バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト、デボラ・カーも、それぞれ主演賞にノミネートされました。
1941年ハワイの米軍基地に赴任したプルーイット上等兵は、かつて主席ラッパ手であり、伍長であったが、上等兵に降格された男だった。彼はボクシングの選手で、上官であるホームズ大尉は、プルーイットがボクシングに復帰したら、下士官に昇格させ、主席ラッパ手にもしてやると言う。しかし、プルーイットは頑なに拒む。かつて、ボクシングの練習で友人に大けがさせたことがあったからだった。そのことで、プルーイットは、上官とボクシング部員から壮絶ないじめに遭う。上官からは酷い目に遭うプルーイットだが、アンジェロ・マジオという親友が出来る。一方、プルーイットの上司であるウォーデン曹長は、上官である大尉の妻カレンと不倫関係に陥る。プルーイットも、会員制クラブで働くロリーンと懇意の仲になる。アンジェロは、いつもクラブで会う「大男」と喧嘩する威勢のいい男。そんな彼らの運命が変わる出来事が、やがて起きることになる。
監督は、名匠フレッド・ジンネマン。大スターが顔を揃えた大作です。描かれるのは、男女の愛と現実。そして、苛酷な軍隊の苛め。男たちの誇り。
バート・ランカスターとデボラ・カー、モンゴメリー・クリフトとドナ・リードの物語が平行して進められ、そこにシナトラの話が絡んできます。
過去の事件から、絶対にボクシングには復帰しないと決めた男プルーイット。そのために、元凶である大尉をはじめ、上官から苛めを受けます。プルーイット一人に狙いを定めた訓練中の陰湿ないじめです。それでも、プルーイットはなかなか、うんと言いません。ボクシングをします、と一言言いさえすれば、全てから解放され、昇進も出来るのです。でも、たったひとつ、彼の心だけは、解放されないのでしょう。一途な男です。でも、不器用そのものです。そんな不器用な男が愛したのは、会員制の高級クラブで働くロリーン。彼女に対しては、プルーイットは駄々っ子のような態度です。全く男というのは……。仕事柄、ロリーンは彼だけに愛想よくするわけにはいかないのに、自分のものと思い込んでいるんですよね。
一方のバート・ランカスター演じるウォーデン曹長は、部下思いですが、上官には従う忠実な男です。自分がその地位にいることで、部下を助けてやれると信じています。ところが、この人、よりによって自分が仕えている大尉の妻カレンに言い寄るのです。それも、カレンが一人で家にいる時に訪ねて行って、彼女を誘惑するというトンでも男。いやはや、結構要領のいい男です。デボラ・カーは相変わらず美しいです。
バート・ランカスターとデボラ・カーが海水浴に行き、砂浜で抱き合ってキスをするシーンは、映画史に残る名シーンです。ふたりとも砂だらけでさぞかし気持ち悪いだろうと思うのに、情熱に燃えるふたりは、そんなこと気にもならない。愛は、砂をも超えるのです。
一時低迷していたフランク・シナトラは、この映画に再起を賭けて、見事助演賞に輝きました。プルーイットの親友だけれど、突撃男とでも言ったらいいのでしょうか。いつも冗談を言っていて楽しい男なのだけれど、彼も実は不器用さを秘めた男です。
皆が、志願して軍隊に入った男。プルーイットは、17歳(だったかな?)で軍隊に入り、軍隊しかいるところがない、と言います。しかし、軍隊は決して彼にとって居心地のいい場所ではありません。こういう階級社会を生き抜くには、要領の良さが必要なのに、彼には微塵もそんなところはありません。これは、もう男気というより、少々イライラするレベルでさえあります。
そんな役を繊細な印象が強いモンティが演じています。ボクシング選手にしては、色男すぎるようにも思いますが、ある意味センシティブだからこそこだわる信念でもあります。
ドナ・リードの名演も光ります。彼女も、そしてデボラ・カーも、求めているものがある。それは、地上(ここ)よりさらに遠いところにあるものです。男と女の温度差を感じずには居られません。
そんな風に生きる彼らの人生が、ある一点に凝縮されるように進んでいきます。
プルーイットが一人吹くラッパの物悲しい音。そして、「アロハ・オエ」が耳について離れない作品です。
トレイラーです。
モンティが奏でるラッパです。なんと物悲しい音なのでしょう!