- 『サウンド・オブ・ミュージック』で学ぶ欧米文化/野口 祐子
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本書は、2008年に京都府立大学で行われた、社会人向けの講座での内容を元にまとめたものです。こんな講座、私も受けてみたかったです。京都までちょっと行けないけれどね。
映画『サウンド・オブ・ミュージック』を軸にして、その中で描かれたトラップ一家の映画と現実との違いや、1965年という製作年度ゆえに表れているアメリカの社会的側面などをわかりやすく説明しています。
わかってはいても触れてはいけなかった(苦笑)映画のラストシーンのスイスへの脱出行についても、きちんと解説。ここで述べられているように、映画の舞台となったザルツブルグは、実はドイツと近くて、スイスとは遠い。山を越えて行くとしたらドイツであって、スイスはあり得ないのです。実際のトラップ一家は、イタリアまで電車で行って、そこからアメリカへと渡りました。当時のイタリアはまだナチスに併合される前だったのですが、何故イタリアではいけなかったのか。‘スイス’が必要だったのは何故か、という論を読んでいると、なるほど~と思います。
他にも、‘ガバネス(家庭教師)’マリアという視点から、当時の上流階級に於ける家庭教師の位置づけ、映画で使われている英語についての細かい話など、かなりマニアックに楽しめます。
何度も言いますが、とっても楽しい講座だったようで、講座では挿入歌を合唱したようです。その時のエピソードで、「♪エーデルワイス♪はともかく、♪サウンド・オブ・ミュージック♪なんて歌ってもらって大丈夫だろうかと心配していたのですが、相当に歌い込んでいらっしゃる方が何人もいらっしゃって、講師のほうが圧倒されました」(p162)という話に思わず苦笑。あら~、私のことかしら?。カラオケにもあるんですよ、♪サウンド・オブ・ミュージックは。そんなの歌っているのは、日本全国で私ぐらいだと思っていましたが、違いましたね~。相当数いらっしゃるようです。となると、アメリカやイギリスで盛んに行われているような、♪シングアロング上映会(映画を見ながら、観客も一緒に歌う)が必要ですね~。