わかれてふ事はいろにもあらなくに心にしみてわびしかるらむ | ボクトキミノウタ

わかれてふ事はいろにもあらなくに心にしみてわびしかるらむ

先日、祖母が亡くなりました。
眠っているうちに徐々に。91歳。老衰です。

どうしても時間が合わず
わたしが北海道の祖母の家に着いたのは葬式の翌日のことで
最後のお見送りをすることができませんでした。

数週間前に余命の話を聞き、覚悟をしていたのですが
身近な人の死というものに経験がなく、
祖母の遺影を前に手を合わせて初めて、実感が湧きました。
「ああ、もう会えないんだな」と。

小さい頃、一番近い場所に住んでる孫というのもあり
おばあちゃんこでどこに行くのも一緒でした。
成長して、段々と会う頻度も減り
東京に行くと決めた時は本当に突発的だったので
ろくに挨拶もしないままでした。

昔繋いだおばあちゃんの皺々であたたかい手を思い出したりして。

手を合わせながら、
ごめんなさいとありがとうを心の中で繰り返したように思います。

先月入院するまでとにかく「年寄り」扱いを嫌う人でした。
高校の頃、たまたま駅で後姿を見つけて
「おばあちゃん!」と声をかけたら凄い形相で睨まれたくらいです。
(わたしだとわかったら笑顔になりましたが)

昔は産婆をしていて仕事に誇りを持つ人でした。
外に出歩くのも大好きで、元気な頃も家を空けていることが多かった人でした。

悪くしていた目も耳も足も、もう自由に動くのなら
今は家にはいなくて、いろんな場所に挨拶に出ているのかもしれないね、と
祖母の家で母と話したくらいです。


わかれてふ事はいろにもあらなくに心にしみてわびしかるらむ

祖母の性格からして、悲しまれるのは好きじゃないけれど。
どこかにぽっかり穴があるような、今はその気持ちがまだ消えません。




あまり孝行じゃない…むしろ薄情な孫だったと思う。
ごめんなさい。
でも、わたしにとってはたったひとりのおばあちゃんでした。
あなたの手のぬくもり、ずっとずっと忘れません。
ありがとう。