書籍業界のジレンマ | RR25

書籍業界のジレンマ

CDと同じく書籍は販売価格が指定されているから、新品であればどこで買っても価格は同じ。


だが、古本になるとその制度の対象外となるから、価格は自由。定価が1,500円のものであっても800円で売られていたりする。


そして古本市場は活況だ。古本チェーンの賑わいを見てもそれは明らか。

これを支えているのは先にあげた価格指定制度に他ならない。


人は何でも何かと比べる性質があるし、価格はそれが数字である分非常にわかりやすい。価格,comが人気なのも、そのせいだろう。


書籍は背表紙に価格が書いてあるし、ネットにも何円オフといった表示があるから、常にバーゲン状態のようなもの。皮肉にも作者や卸業者の利益を守る制度が古本市場に活気を与えているのだ。


古本市場の活況が価格比較の結果とするなら、現在の価格指定制度をやめてしまうと書籍の市場は縮小する。古本市場は比較対象を失うことで、また震撼書籍市場には古本を通じてファンになる機会の現象が悪い影響を与える。


新品が安ければ市場が拡大するという単純な構図ではないように思う。低価格で拡大するのは古本市場だけだ。


これはブランド品の市場に通じている。例えば通常10万円で販売し人気のバッグがあったとする。これを「本日限り3万円」とするとおそらく列ができるほどの人気になるだろう。しかし、常に3万円で購入できるようにしたら、人気が3倍になるかというとそんなことは絶対にない。むしろ人気は落ちるだろう。これは、通常高価格のものが安くなるから行列ができるのであり、常に安いのならばいらない、という心理がはたらくからだ。


おそらく書籍業界の人たちは価格指定制度をはずしたくともはずせないジレンマに陥っているのではないだろうか。


古本業界の人たちにとっては、再販制度さまさまである。


書籍業界の拡大は底辺の拡大する三角形ではないか。


いくら売れても拡大するのは古本市場。


ネットでデータとして書籍を購入することが当たり前になるまでは古本市場は安泰だ。しかしデータ購入が発達すればするほど古本市場は不要なものとなってしまうことは間違いない。