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カラスがさわいでいた。
道端に、可燃ゴミの集積所からあぶれたのか、残飯のかけらが落ちており、数羽のカラスたちが、そいつを奪い合っていた。

かけらは、よく見ると鶏のからあげの食べ残しだった。

この餌はどう見積もっても一羽分の量しかない。

それを、10羽弱のカラスたちが争っている。

でも、争いに参加しなければ、鶏のからあげのかけらにはたどり着かない。
少しの可能性でも信じていれば、なんらかの成果にありつけることを、彼らは知っている。

可能性を信じなければ、のたれ死ぬことを、彼らは知っている。



食事時になれば、股間から飼い犬が顔を出す。

充分な餌をやっているのもかかわらず、人間様の食卓から、何か美味しいものが落ちてくるのを待ち受ける。
待ち受ける。
奴らだって奇跡を待ち望んでいるのだ。
奇跡は、望む者のところにだけやって来る。