息子には、じいちゃんからオモチャ代わりにともらった携帯がある。
まだ1歳半の息子に、携帯の何たるかなんてわかるはずもない。
わかるはずもないはずなのに、奴は結構、やってくれる。
たとえば、携帯を持つといつも「耳にあてる」のではなく、「肩にかつぐ」ふうにして
「どじょー」
とか言っている。
誰も教えないのに、なぜ「どうぞ」なのだ?
誰も「どうぞ」なんてふうには電話しないのだぞ、息子よ。
明治の昔より、電話は「もしもし」なのだ。
どうぞ、と言うのは無線機だぞ。80年代にはおおいに流行ったが・・・
チェック・・・ 再度チェック・・・ ファイナルチェック・・・ とかなんとか言って。
その「どじょー」は、誰に教わったのだ?
それに、息子よ。
お前の携帯の「電話帳」を見たら、誰かの名前が入っているじゃないか。
賀来 奈々香さん
隅に置けないやつだ。お父さんが会ってあげるから、今度家に連れてきなさい。
電話番号は35番。お前の彼女は明治時代か?
何気に二つ目の番号もあるのが気になるのだが・・・・
###・・・ シークレット。
短縮の短縮の短縮みたいで謎めいた感じが、おとうさん、結構気に入ったぞ。
そして二人目、これまた難しい。
テニスの絵文字じゃないか。なんて名前なんだ。
発音の仕方も難しいが、よく見ると、#の並んでいる様は、まるでテニスコートのネットである。
高貴な感じがして嫌いじゃないぞ。
新手の花札にも見えるな。
3人目・・・いよいよ佳境である。
カサヌハサマアマャサ=カカカカ
かかか過・・・・外国人か。日本語ふうに表記するなら「かかか過」ってのが適切なのか、なんとな~く分かるよ。
ただ、人名で「かかか過」は、限りなき未知の領域だぞ。
それに、そこはかとなく漂う南方系の香り。タラップ降りたらドリアンのにおい、みたいな感じ。
父さん、東南アジアは大好きだ。お前も一人旅で出かけてくるがいい。
お名前を拝見すると、おそらくこの人はマレー系だろう。
本名じゃ長いから、あだ名を教えてもらいなさい。その方が楽だ。
息子よ。じいちゃんからいいものもらったな。
1歳半でこれだけ使いこなせるなら、ネットの世界でも
縦横無尽にやっていけそうだ。
結構、期待しているんだぜ、先生。
追伸:
息子よ、毎朝君の携帯をのぞき見ては、
げらげらわらっている父と母を、
どうか、君も一緒になって、笑って許してくれないか。
何を気に入らないのか、いつも「あ``ーーー!」とか言って怒るが・・・・
まあ、いいじゃないか。笑かしてくれるのはありがたいことだ。
良ければ実践。悪くても実践。実践実践。
フフ、かわいいなあ。