ああ、雨があがった―――


入道雲だ。




夏が似合う場所をみつけて、それはさびしいさびしい


さびしい。夏が似合う場所はさびしい。


冬になれば、そこに夏があったことを思い出すだろう。


だから、この夏があるうちに、それを惜しむのだ。




この夏は、この夏が終わるまでの夏だから


次の夏は、この夏とは違う。


季節は巡る様に見えるけど、そうじゃない。


この夏は、ただひとつの夏だ。




ああ、入道雲。


あれは、なんだか、胸をしめつける形をするもんだなあ。







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