深夜。残業の合間にyoutubeでレッドホットチリペッパーズを見ていた同僚に「レッチリ好きなんですか?」と聞いたら「自分もレッチリみたいになりたかった」と答えた。

「レッチリみたいな、って、どんなですか?」

「温泉みたいな人ってことかな」

温泉みたいな人。

「人は皆、何かに疲れると、休ませてくれるものをもとめるでしょう?自分にとってレッチリを聴いている時間が、休まる時間なんですよ。だから、レッチリは温泉みたいな人なんだ」

そんな風に誰かを見たことが無かった俺は、温泉みたいな人、という喩えが一瞬で気に入った。

「つまり、あなたも『誰かにとって温泉みたいな存在』になりたいと思ったことがあったんですね」

「今だって思ってますよ」

つきつめるところ、人は人からしか癒されないのかもしれない。

人それぞれが温泉なのかもしれない。

俺温泉。わたし温泉。あんた温泉。君温泉。諸君温泉。

それにしてもレッドホットチリペッパーズが温泉とは。イエローストーン公園の間欠泉みたいな激しい温泉かな、それとも、草津温泉の源泉みたいな強い温泉かな、とか、ちょっと考えた。



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