妻の実家で、妻と共にあずけきりになっている、小さな息子と遊んだ。
遊んだと言っても、生後2ヶ月の息子と出来る遊びは限られる。
奴の顔の前まで身を乗り出し、あー、とかうー、とか言ってみるだけのことだ。
奴は俺を真似し、あー、とかうー、とか言って笑う。
その笑みは、他のどの笑みよりも大切な笑みなんだ。
そんなこと、と一蹴される、他愛無い遊び。
子を持つ親の、子に対する思いは、どの雑誌を読んでも、どんなテレビタレントの言葉を聞いても、見事なまでに一様で、親になる以前の俺をして辟易たらしめたものだが、それが自分が親になると、どうあがいても他の表現が見つからず、彼らと同等の意見しか出てこない。
よほど特殊でない限り、親というプログラムは定められた過程を通過するものなんだ、きっと。
俺が赤ん坊の頃にだって、今日と同じ様なドラマが展開していたに違いない。
俺は何時間も、あー、とか、うー、とか言って過ごした。


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