宇宙の成り立ちに意味というものはあるのだろうか。
宇宙とは・・・まるで川面に生まれては消える渦の様なものではないか。
渦の発生と消滅にあるのは原因と結果であり、意味ではない。
それと同様、宇宙に内在する全ても、原因の織り成す結果であり、意味と呼ばれるものではない。
意味とは・・・なんだか分からなくなってパニックを引き起こしそうになるときに働く、人間の防御本能だ。
・・・ふとしたはずみに、決まって意味のことを思う。
どうも俺は、人の悲喜劇は「意味という幻想」を追及した結果だと思っている。意味から離れたとき、存在は全てに包まれ、まるで無くなってしまったかの様な完璧な自由を獲得するのだろう、それが俺の思想の根本だ。
あの頃、あの人との一連の顛末は、たまたま近くを通りすぎた渦同士の干渉だった。
時折融合して渦の速度を上げたり、左右に大きく蛇行して、新たな流れに出会ったりしたのだ。
まるでダンスの様に、くるくる、くるくる廻りながら、時間と位置を共有した。
いつしか、流れの方向を変え、ふたりが別れたのは、そこかしこに生まれては消える、たくさんの渦たちの干渉だった。
終わりはまた、始まりでもあった。
意味なんかないさ、決して意味なんか。