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さっきまで見ていた夢が、俺をして強烈に切ない気持ちにさせた。
こんな朝はいつまでも、遠いところから帰ってきた様な気分が抜けない。
こんな朝はいつまでも、遠いところから帰ってきた様な気分が抜けない。
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ナイトラン。
人口の光が点々と灯る夜の街は、遊園地のアトラクションの様で綺麗でミステリアスだ。
遠い幼い日の、真夜中の街道筋の70年代歌謡曲、小洒落たレストラン、薄暗い店内のスペースインベーダー、通り過ぎる車のヘッドライトと青信号の光の交差、点滅する何かしらのサイン、緑色のバーのネオン、そしてウッドベースのウォーキング、そんな思い出が渾然一体となって、過剰に甘すぎる昔のキャンディの味を喉の奥に再現する。
道端で拾ったおもちゃのルビーは本物よりも妖艶に感じた。
人口の光が点々と灯る夜の街は、遊園地のアトラクションの様で綺麗でミステリアスだ。
遠い幼い日の、真夜中の街道筋の70年代歌謡曲、小洒落たレストラン、薄暗い店内のスペースインベーダー、通り過ぎる車のヘッドライトと青信号の光の交差、点滅する何かしらのサイン、緑色のバーのネオン、そしてウッドベースのウォーキング、そんな思い出が渾然一体となって、過剰に甘すぎる昔のキャンディの味を喉の奥に再現する。
道端で拾ったおもちゃのルビーは本物よりも妖艶に感じた。
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浮かれていた世間がだんだんと正気を取り戻して、いつもの見慣れた風景に戻っていくのを肌で感じる様になってくると、心の奥底にへばりついている「常夏の国に逃げたい」願望が じんじん疼く。
日本の夏は最高だ。
日本の夏が最高だと感じる訳は、短いからだ。
日本は寒い国なのだ。寒い時間のほうが長い。
暑い季節は貴重なのだ。
だから、少ないものを重宝がる。
もし俺がインドネシア人なら、それほどありがたがることも無いだろう。バリの友人は「バリ島が常夏の国でよかった」と言う。
冬の日本に遊びに来た彼は、帰国後、もう冬の日本には来たくない、と言った。
行くなら夏の日本がいい、と言った。
そんな風だから、ひょっとしたら暑い国の人々は、寒い季節が無くてほっとしているかも知れない。
日本の夏は最高だ。
日本の夏が最高だと感じる訳は、短いからだ。
日本は寒い国なのだ。寒い時間のほうが長い。
暑い季節は貴重なのだ。
だから、少ないものを重宝がる。
もし俺がインドネシア人なら、それほどありがたがることも無いだろう。バリの友人は「バリ島が常夏の国でよかった」と言う。
冬の日本に遊びに来た彼は、帰国後、もう冬の日本には来たくない、と言った。
行くなら夏の日本がいい、と言った。
そんな風だから、ひょっとしたら暑い国の人々は、寒い季節が無くてほっとしているかも知れない。
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チーム蕨YMBD(ワラビ・ヤングメン・ボン・ダンサーズ)を結成した当時の俺は、市内でも屈指のスターだった。
全員浴衣に襷掛け、パレードの先頭を行く俺は佐渡おけさの編笠を被り、大正時代の前輪がでかい自転車で会場入りだった。
全員浴衣に襷掛け、パレードの先頭を行く俺は佐渡おけさの編笠を被り、大正時代の前輪がでかい自転車で会場入りだった。
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新幹線で帰宅途中の午後7時、携帯のバイブが唸った。
デッキにて電話に出て、些細な用件を聞いた。
扉の窓の外には、満月から一日過ぎた大きな月。
不意に、その隣に大輪の花火が打ち上がった。
ちょっと驚いた。
そして、電話の向こうから届く言葉が唯の記号になった。
ところも知らぬ海岸の、きっと恒例になっているだろう花火大会なのだ。
時速200キロで遠ざかる花火を見送る。
どなたかは分からないけど、花火をありがとう。
ありがとう。
小さな、しかし、素晴らしい慰安だ。
ひとつずつ丁寧に打ち上げられる、決して派手とは言えない行きずりの花火は、俺の心を鷲掴みにした。
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昔の話だ。
叔父さんの経営するスナックが夏期休暇に入り、二泊三日で白浜に社員旅行に出るという事になった。
俺は、男の子の居ない叔父さんには特別可愛がられていたせいもあってか、その旅行に連れて行ってもらえることになった。
お盆時期を避け、その少し前に日程を組んだので、高速道路も一般道も、さほどの渋滞にも見舞われず、白浜までの道のりはスムーズだった。
車三台に分乗し、ホステスさん5人、調理場の男性社員3人、叔父さんと俺、計10人ほどの慰安旅行だ。
青い空と海、白い浜。彼方には入道雲と、夏を代表する様な風景が広がっていた。
浜のすぐ近くにその旅館はあった。
暴走族上がりのとっぽい男性社員と、さんざん遊んだ俺は、帰ってくるなり、べたつく体をすっきりさせようと すぐさま風呂場へ直行した。
風呂場の入り口はすりガラスの引き戸になっており、中の様子が見えるのだが、なにやら誰かが先に入っている様だった。
それは、叔父さんの経営するスナックのホステスさんだった。
先に帰ってきて、一足違いで風呂場に入っていたのだ。
子供とはいえ、無遠慮に男の俺が入っていいものかどうか迷った。そのホステスさんとは、お互いを知っている間柄とはいえ、とても親密な関係と言えるほどでもなかったのだ。
引き戸の前でうろうろしていると、その引き戸がカラカラと開き、ホステスさんが「一緒に入る?」 と笑顔で訊ねた。
一緒に入っていいものか。子供とはいえ、若い女の人と一緒に風呂に入るのは恥ずかしかった。ホステスのお姉さんは、子供だからと気を許したのだろうが、子供だって幼稚園の頃を過ぎれば、立派に一人前の男なのだ。
色んな気持ちの混ざり合ったシュールな気分で、それでも俺は一緒に風呂に入った。
長い髪に均整の取れたボディーライン、胸は張りがあり、ツンと上を向いていた。じっと見た。
湯船に浸かっていると、チンチンが真上を向いたままカチカチになってしまった。 それはもう恥ずかしくて、湯船から出る訳には行かなくなった。
「どうしたの?頭洗ってあげるから出ておいで」
健康的に赤く日焼けしたお姉さんは、洗い場で自分の髪をすすぎながら言った。
やむなく俺は、前を手で隠しながら湯船を出た。
ホステスのお姉さんは俺を椅子に座らせると「シャンプーハット無いけど、大丈夫だよね?」と俺の頭を洗い始めた。
人に頭を洗ってもらう事ほど気持ちのいい事はない。
お姉さんは、とてもやさしく俺の頭を洗った。
大切なものを包み込む様な優しさで洗った。
お姉さんの胸の先が、俺の背中に当たった。
それでも俺は、いきり立った一物を見られまい、と、前の手をどける事はなかった。
俺の意思の届かない部位は、ますます静まる様子は無かった。
ひとしきり頭を洗い終えると、ホステスのお姉さんは「体を洗う」と言った。
それは勘弁して欲しかった。
もじもじしていると「ほら、手をあげないと洗えないでしょ」と俺の手を半ば無理やり持ち上げた。
一物がお姉さんの顔のまん前に露出した。
「なんでチンチンが上を向いているのかしら?」
そう言うと、お姉さんは意地悪に微笑みながら、俺の体を洗った。羞恥心と心地良さで、日焼けじゃなく、体中の地がのぼって、俺の顔は真っ赤になっていたに違いない。
お姉さんは、固くなった一物も丁寧に洗ってくれたが、それはもう夢中だった。
今更考えると、あれはホステスのお姉さんのちょっとしたイタズラだったのではないか。
そうなる事を予想して、どんな反応をするのか見たかったから、俺を風呂に誘ったのではなかろうか。
それとも、それは考え過ぎと言うものか。
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