浜#265]岸田内閣が掲げる少子化対策におけるEBPMが明確ではない可能性等に関する再質問主意書 | NHKから国民を守る党(質問主意書、などなど。。。)

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第213回国会(常会) 質問主意書 質問第七七号
令和六年三月十九日 浜田 聡      参議院議長 尾辻 秀久 殿

岸田内閣が掲げる少子化対策におけるEBPMが明確ではない可能性等に関する再質問主意書

 今国会において私が令和六年二月八日に提出した「岸田内閣が掲げる少子化対策におけるEBPMが明確ではない可能性等に関する質問主意書」(第二百十三回国会質問第二七号)の答弁(内閣参質二一三第二七号)を受けて、以下質問する。

一)答弁の一についてでは、「政府としては、個人の希望に応じた支援を行うことが重要と考えており、これが結果として御指摘の「合計特殊出生率を引き上げること」につながっていくものと考えている。」とあるが、個人の希望は当然ながら千差万別であり、どのような支援を行う事が少子化対策に繋がり、ひいては国益に資するかは、政府が客観的な調査分析資料に基づき決定するものである。政府が考える「合計特殊出生率を引き上げること」に繋がる支援とは具体的に何を指すのか、根拠と併せて示されたい。
一について)お尋ねについて、政府としては、少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っているため、当該希望の実現を阻む様々な障壁を一つ一つ取り除いていくために各種の政策が必要であり、少子化対策は、これらの政策が総合的に相まって効果を発揮するものと考えているところ、これらの政策の立案に当たっては、政府として、個人の意識や子育ての実態等の少子化対策に関する様々な調査研究を実施するとともに、大学や研究機関等における調査研究なども参照しながら行っている。これまで、少子化社会対策基本法(平成十五年法律第百三十三号)に基づき定めた総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の大綱において、これらの政策を取りまとめ、累次にわたって当該大綱を改定しながら、総合的に取り組んできたところであり、当該大綱の後は、こども基本法(令和四年法律第七十七号)に基づき定めた「こども大綱」(令和五年十二月二十二日閣議決定。以下「こども大綱」という。)において、これらの政策を取りまとめ、総合的に取り組んでいるところである。

二)これまで政府が少子化対策を目的として行った政策を全て示されたい。
二について)御指摘の「少子化対策を目的として行った政策」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないため、お尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、令和二年に少子化社会対策基本法に基づき定めた「少子化社会対策大綱」(令和二年五月二十九日閣議決定。以下「令和二年少子化社会対策大綱」という。)別添一「施策の具体的内容」において掲げる、「結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる」ものとして「若い世代が将来に展望を持てる雇用環境等の整備」、「結婚を希望する者への支援」、「男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備」、「子育て等により離職した女性の再就職支援、地域活動への参画支援」、「男性の家事・育児参画の促進」及び「働き方改革と暮らし方改革」、「多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える」ものとして「子育てに関する支援(経済的支援、心理的・肉体的負担の軽減等)」、「多子世帯、多胎児を育てる家庭に対する支援」、「妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援」及び「子育ての担い手の多様化と世代間での助け合い」、「地域の実情に応じたきめ細かな取組を進める」ものとして「結婚、子育てに関する地方公共団体の取組に対する支援」及び「地方創生と連携した取組の推進」、「結婚、妊娠・出産、子供・子育てに温かい社会をつくる」ものとして「結婚を希望する人を応援し、子育て世帯をやさしく包み込む社会的機運の醸成」、「妊娠中の方や子供連れに優しい施設や外出しやすい環境の整備」及び「結婚、妊娠・出産、子供・子育てに関する効果的な情報発信」並びに「科学技術の成果など新たなリソースを積極的に活用する」ものとして「結婚支援・子育て分野におけるICTやAI等の科学技術の成果の活用促進」、並びに「結婚前」の段階における「ライフプランニング支援」及び「若い世代のライフイベントを応援する環境の整備」、「結婚」の段階における「経済的基盤の安定」、「地方公共団体による総合的な結婚支援の取組に対する支援等」及び「ライフプランを支える働き方改革」、「妊娠・出産」の段階における「妊娠前からの支援」、「妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援」及び「安全かつ安心して妊娠・出産できる環境の整備」並びに「子育て」の段階における「子ども・子育て支援」、「子育てに関する経済的支援・教育費負担の軽減」、「仕事と子育てを両立するための働き方改革」、「男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、女性活躍の推進」、「男性の家事・育児参画の促進」、「子育ての担い手の多様化と世代間での助け合い」、「多子世帯、多胎児を育てる家庭に対する支援」、「住宅支援、子育てに寄り添い子供の豊かな成長を支えるまちづくり」、「子供が健康で、安全かつ安心に育つ環境の整備」、「障害のある子供、貧困の状況にある子供、ひとり親家庭等様々な家庭・子供への支援」、「社会全体で子育てを応援する機運の醸成」及び「子育て分野におけるICTやAI等の適切な活用」の施策ごとに、具体的な施策を盛り込んだところである。


三)前記二の政策のうち、合計特殊出生率との相関関係が認められた等、合計特殊出生率へ何らかの影響があったと政府が認めた政策はあるか。ある場合は影響があったことを示す統計データ等、根拠と併せて全て示されたい。
五)前記四について、因果関係ではなく、相関関係の有無を検証するために行った調査や実証実験、収集した統計データ等はあるか。あれば全て示されたい。
三及び五について)御指摘の「合計特殊出生率との相関関係が認められた等、合計特殊出生率へ何らかの影響があったと政府が認めた政策」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないため、お尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、少子化対策の立案に当たって、御指摘の「合計特殊出生率との相関関係」に言及した調査研究として、内閣府経済社会総合研究所の研究者が国内外の少子化対策に関する様々な研究成果を取りまとめた「ESRI Research Note No.66少子化対策と出生率に関する研究のサーベイ―結婚支援や不妊治療など社会動向の変化と実証分析を中心とした研究の動向―」(令和四年五月)も参照してきたところであり、また、こども政策担当大臣の下、関係府省の局長級から成る「こども政策の強化に関する関係府省会議」において民間有識者の出席を求め、例えば、令和五年二月二十日に開催された第三回同会議において、民間有識者から労働時間や教育支出等と「合計特殊出生率との相関関係」も含めた報告があり、こうした報告等を基に議論を行ってきたところである。

四)答弁の三及び四についてでは、「少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていることから、特定の施策と合計特殊出生率との間に「因果関係」が「ある」とは言えないものと考えており、」とあるが、特定の政策と合計特殊出生率との因果関係を示せるかどうかは、統計的因果推論における統計データの収集や実証実験、調査を行う等で検証しないと分からないのは当然の事である。これまで政府において、前記二の政策のうち、合計特殊出生率との因果関係の有無を検証するために行った調査や実証実験、収集した統計データ等はあるか。あれば全て示されたい。
四について)お尋ねについて、政府としては、一についてで述べたとおり、少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っているため、当該希望の実現を阻む様々な障壁を一つ一つ取り除いていくために各種の政策が必要であり、少子化対策は、これらの政策が総合的に相まって効果を発揮するものであり、さらに、その効果が表れるまでに一定の時間を要するものと考えており、御指摘のような「特定の政策と合計特殊出生率との因果関係」「の有無を検証」することは困難であると考えている。

六)政府のEBPMの取組のうち、前記二の政策のEBPMの推進のためにこれまで使われた予算額を年度ごとに示されたい。また、令和六年度の予算額はいくらか示されたい。
六について)御指摘の「政府のEBPMの取組のうち、前記二の政策のEBPMの推進のためにこれまで使われた予算額」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないため、お尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、御指摘の「EBPMの取組」については、令和二年少子化社会対策大綱においては、これに類する取組として、例えば、「少子化に関する調査研究や事例収集等を通じて、少子化の状況、施策の実施状況等を適切に把握・分析し、政策的対応に向けた検討を行う」こととし、その一環として行った事業には、少子化対策に関する取組の企画・立案及び推進のために必要な資料の収集等を行うための「少子化対策調査研究等経費」による調査事業があり、同事業の予算額は、令和二年度は五千八百万円、令和三年度は三千七百万円、令和四年度は二千七百万円であり、また、こども大綱においては、「「こどもまんなか」の実現に向けたEBPM」として、「様々なデータや統計を活用するとともに、こども・若者からの意見聴取などの定性的なデータも活用し、・・・課題の抽出などの事前の施策立案段階から、施策の効果の事後の点検・評価・公表まで、それぞれの段階で、エビデンスに基づき多面的に施策を立案し、評価し、改善していく」、例えば、「こども・若者や子育て当事者の視点に立った調査研究の充実や必要なデータの整備等を進める」こととしており、その一環として行う事業には、こどもや若者、子育て当事者の意識や置かれた状況等について情報収集や実態把握等を行う「こども政策に関する調査研究事業等」があり、同事業の予算額は、令和五年度は四千七百万円、令和六年度は三千万円である。

七)平成十五年七月に議員立法として成立した少子化社会対策基本法に基づいて行われてきた政策について、少子化対策に有効である政策であると特定するための統計的検証はこれまで実施されたか。実施された場合は実施した検証について全て示されたい。実施されていない場合はその理由を示されたい。
七について)御指摘の「少子化対策に有効である政策であると特定するための統計的検証」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、少子化対策の検証については、政府として、平成十六年に少子化社会対策基本法に基づき定めた「少子化社会対策大綱」(平成十六年六月四日閣議決定)において、「少子化社会対策会議の下に、民間有識者の意見を反映させる仕組みをつくり、少子化の流れを変えるための施策を評価し、その結果を公表するとともに、関連施策の事前、事後のチェック体制をつくり、十分な成果が生まれるよう施策の推進につなげる。・・・施策の進捗状況とその効果、出生率の動向等を踏まえ、毎年フォローアップを実施していくとともに、おおむね五年後を目途に見直しを行うこととする」とし、これに基づき、PDCAサイクルの取組を推進し、累次にわたって総合的かつ長期的な少子化に対処するための施策の大綱を改定しながら施策の見直しを図ってきたものである。具体的には、例えば、令和二年少子化社会対策大綱においては、「本大綱の施策について、その効果的な推進を図り、より実効性のある少子化対策を進めるため、施策の進捗状況等を検証・評価し、必要な見直しにつなげるPDCAサイクルを適切に回していく。今後五年間を目処として、本大綱の施策について数値目標を設定するとともに、その進捗を定期的にフォローアップする。(中略)あわせて、政府全体として、有識者の意見を聞きつつ、施策の進捗状況等を検証・評価するための体制を構築する」とした上で、内閣府特命担当大臣(少子化対策)の下、民間有識者から成る「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」において、数値目標等が設定された施策の進捗状況等について検証及び評価を行い、令和四年七月二十六日に「中間評価」を取りまとめたところである。